がん患者の治療と仕事の両立に貢献する次世代放射線治療装置の開発と提供
当社がめざす、負担の少ない次世代放射線治療装置
高齢化の進展とともにがん患者も増加しており、より身体への負担が少ない放射線治療へのニーズが高まっています。当社は、低被曝・低侵襲の放射線治療で、治療期間中の負担をさらに軽減。より少ない通院で済み、身体への負担が少ない治療ソリューションの提供をめざしています。
がんの3大治療法として「外科療法」、「化学療法」、「放射線療法」があります。放射線療法とは、がんの病巣部に放射線を当てる治療法です。放射線を照射するとがん細胞の遺伝子は傷ついて増殖できなくなり、死滅していきます。当社は、がんに放射線を集中的に照射させる機器や技術を開発することで、放射線治療の精度を高めていきます。
放射線照射のイメージ
患者のQoL向上に貢献し、医療従事者の操作性にも配慮した機器開発
当社では、2024年よりX線治療装置「OXRAY」を販売し、病院への提供を開始しました。放射線療法に使用する放射線には主にX線、陽子線、重粒子線の3種類がありますが、「OXRAY」の販売開始により、日立ハイテクは、主要な3種類の放射線治療装置をすべて揃える世界で唯一の会社になりました。「OXRAY」は、がん細胞にピンポイントで治療用X線を照射することが可能です。これにより正常な組織への影響を抑えた、副作用の少ない治療が実現します。放射線治療システムの進化は、手術などによる体の負担を軽減し、通院での治療を実現するなど、生活や仕事への影響を低減します。
「OXRAY」は機器自体コンパクトな設計で、放射線治療に特化した医療機関やがんセンターだけでなく、地域医療の拠点としての役割を担う中核病院などへの導入も可能なサイズです。本体操作部のソフトウェアも、医療従事者が直感的に操作可能なユーザーインターフェースとしました。さらにリモートメンテナンスを実施しており、装置不調をリアルタイムで察知。メンテナンスサポートをすることで、装置ダウンタイム及び患者の治療機会損失の最小化に努めています。
線形加速器システム OXRAY
より安全で、より負担の少ない治療法の確立に向けて
現在当社は、これまで放射線治療システムで培った技術を生かし、次世代粒子線装置の開発を進めています。粒子線の特性と、装置の制御機能により、体の内部にある腫瘍の位置と大きさに適合した粒子線の照射が可能となります。 その結果、腫瘍付近の正常組織や重要臓器への影響を最小限に抑えることができます。また、高精度・高線量率の照射が可能であり、病院に容易に設置できる小型・低コストを実現する新型加速器の開発を進めています。さらに、体外からの放射線照射だけでなく体内で放射線がん治療を行う「アルファ線内用療法*」に必要な材料であるアクチニウム225を高効率かつ高品質に製造する技術を世界で初めて確立しました。現在、医療用としての実用化を検討しています。
今後も独自の機構と治療技法により、患者にやさしい高精度な治療の機会を提供することで、健康で安全、安心な暮らしに貢献していきます。
* がん細胞を破壊するアルファ線を放出するアクチニウム225と、がん細胞に選択的に集積する薬剤を組み合わせた治療薬を患者に投与し、体内からがん細胞を攻撃する治療法
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