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デジタル社会を進化させる半導体製造の最前線を支え、持続可能な未来へ

脱炭素 科学技術の発展

スマホやパソコン、家電や自動車、企業や国・自治体のオンラインシステムなど、半導体は私たちの暮らしを支えるあらゆる製品やサービスに欠かせないデバイスとなっています。

持続可能な未来に向けたDX(デジタル・トランスフォーメーション)やGX(グリーン・トランスフォーメーション)においても半導体は必要不可欠な存在で、需要はますます高まっていきます。

その製造現場を支えているのが、ナノテクノロジーソリューション事業統括本部が提供する半導体製造・計測検査装置です。高精度なプラズマエッチング技術に加えて、日立ハイテクのコア技術である「見る・測る・分析する」による検査・計測・解析ソリューションが、高度化する要請に応えています。

さらに北米、台湾、韓国に顧客協創拠点を新設し、半導体メーカーとの距離を近づけることで、スピード感のある課題解決と新たな価値の創造を実現。進化するデジタル社会を支える半導体産業の、持続的な発展に貢献していきます。

独自の「プラズマエッチング」でナノスケールの微細加工に対応

半導体は「産業の米」とも呼ばれ、デジタル化が進む社会に欠かせないデバイスとなっています。今後も世界の半導体市場は年平均成長率(20~27年)9%程度で拡大し続けると予測されており、(※)その製造現場を支える装置のニーズも拡大していきます。

「半導体」は、一般的に半導体チップのことを指します。これはシリコンウエハ上にトランジスタや配線を多数形成して電気回路を配置したもので、集積回路(IC、LSI)とも呼ばれます。

半導体の製造工程は、大きく3つに分けられます。回路の「設計」、設計した回路をシリコンウェハの表面に作る「前工程」、半導体チップを切り出して製品に使える状態に組み立てる「後工程」です。

さらに前工程は「成膜」、「パターン転写」、「エッチング」の3つに分けられます。このうち日立ハイテクが製造装置を供給しているのが「エッチング」です。エッチングとは、ウエハ上の薄膜に転写された回路パターンに沿って膜を削り、実際の配線形状に加工する工程です。

日立ハイテク調べ
半導体製造における基本工程
半導体製造における基本工程
半導体製造における基本工程

日立ハイテクのエッチング装置の特徴について、ナノテクノロジーソリューション事業統括本部・プロセスシステム営業本部の大竹浩人はこう説明します。

「日立ハイテクは世界で唯一『電子サイクロトロン共鳴(ECR)』を使ったエッチング装置を供給しています。これはプラズマ化したガスを用いて膜を削る技術で、最先端の微細化にも対応しています。膜に与えるダメージも最小限に抑えられ、品質や歩留まりの向上も実現できます」

では「最先端の微細化」とは、どのぐらいなのか。評価システム営業本部の水野貴之は「シングルナノメートルレベルの精度が求められるようになった」として、こう説明します。

「100ナノメートルレベルの半導体デバイスであれば、プラスマイナス1ナノの誤差がデバイスの性能に与える影響は1%程度です。しかし4ナノ、5ナノというレベルの半導体デバイスになると、1ナノの誤差で10%以上も特性に影響が出てしまいます。これは致命的なことで、AI(人工知能)や自動運転、ロボットなど半導体の用途が高度化するにつれて、要求もシビアになっているのです」

1ナノメートルは10億分の1メートル
日立ハイテク独自のプラズマ技術を用いた「コンダクターエッチング装置」
日立ハイテク独自のプラズマ技術を用いた「コンダクターエッチング装置」

「見る・測る・分析する」技術を駆使し、シングルナノレベルの品質要求に応える

半導体の製造には、わずかな不具合や誤差も許さない品質管理と検査体制が求められます。そこで真価を発揮するのが、高い精度で集積回路の検査・計測・解析を行う装置です。日立ハイテクは「見る・測る・分析する」をコア技術としており、これらのプロセスをワンストップで行うことができます。

  • 見る:製造の過程で生じる欠陥や不具合を見つけ出す検査装置
  • 測る:設計通りの微細加工ができているかを計測する測長装置
  • 分析する:欠陥や不具合を分析し、原因を究明する解析装置

特に「測る」においては、日立ハイテクの「CD-SEM(測長SEM)」が世界市場にて約7割(※)というトップシェアを維持し続けています。これは電子顕微鏡の技術を応用して寸法を測る「ものさし」の役割を担うもので、最新型の装置はプラスマイナス0.1ナノメートルレベルの寸法誤差も計測可能です。

https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/company/data/
ナノスケールの計測を可能にしたCD-SEM(左)と、欠陥や不具合を見つけ出す検査装置(右)

このように、日立ハイテクは独自技術によるエッチング装置に加えて「見る・測る・分析する」を含むソリューションをトータルで提供。AIも駆使し、各装置に蓄積されたデータをお客さまにフィードバックすることで、製造現場の課題解決までをサポートできるポートフォリオの開発を推進しています。

エッチング、検査・計測・解析の各工程で蓄積されたデータを統合し、ソリューションをトータルで提供
エッチング、検査・計測・解析の各工程で蓄積されたデータを統合し、ソリューションをトータルで提供

スピードアップ、コストダウン、脱炭素をお客さまの近くでサポート

日本を含む多くの国や地域が半導体を重要戦略に位置付けており、半導体メーカーどうしの競争も激化しています。これにともない、製造現場で発生する多岐にわたる課題への対応力が重要になっているとして、大竹浩人はこう語ります。

「近年は品質に加えて、コストダウンやスピードアップへの要求も高まっています。これに応えるには、お客さまと一緒に製造工程のフローを考えることが大切です。これまでの装置メーカーという立場から一歩踏み込んで、ともに課題を解決し製造現場を作っていくパートナーというマインドに変わることが、強く求められています」

お客さまからの高まる要請に応えるため、日立ハイテクは世界的な半導体の生産地である北米、台湾、韓国に顧客協創拠点を新設します。2022年に北米と韓国の拠点が竣工し、台湾については2023年の開設を目指しています。

現地に拠点を設ける意義について、水野貴之はこう語ります。

「お客さまとの距離が近くなれば深い協創関係を築くことができ、新たな価値を創造・提供していくことも可能になります。例えば、これまで検査や計測を行うには、対象となるウエハを日本に持ち込んでいただく必要がありました。現地に拠点があることで、人とモノの移動にかかる時間と手間を大幅に削減できるメリットの大きさは計り知れません」

海外の顧客協創拠点。左から北米ポートランド、台湾、韓国
海外の顧客協創拠点。左から北米ポートランド、台湾、韓国

近年はエネルギー変換効率の高い「パワー半導体」により、低消費電力化が進んでいます。それと同時に、製造現場の省電力化とCO2排出量の削減も重要課題となっています。

こうした要請に応えるため、日立ハイテクは省電力な装置の開発を進めるとともに、それを送り出す自社拠点の脱炭素化にも取り組んでいます。

2021年3月には、半導体製造装置の新たな開発・製造拠点である「マリンサイト」(茨城県ひたちなか市)が竣工しました。同サイトは太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの活用などにより、操業開始からカーボンニュートラルを実現しています。

カーボンニュートラルを実現した「マリンサイト」
カーボンニュートラルを実現した「マリンサイト」

持続可能な未来の実現に欠かせないデジタル社会の進展に貢献

日立ハイテクグループはSDGsを踏まえて、社会課題の解決に向けて5つのマテリアリティ(重要課題)を掲げています。

  1. 持続可能な地球環境への貢献
  2. 健康で安全、安心な暮らしへの貢献
  3. 科学と産業の持続的発展への貢献
  4. 健全な経営基盤の確立
  5. 多様な人材の育成と活用

半導体製造・計測検査装置は、特に1)と3)に深く関係しています。日立ハイテクグループは2027年度までに全事業所におけるカーボンニュートラルを目指す中、「マリンサイト」はいち早くそれを実現しました。

さらに、環境配慮設計とライフサイクルアセスメントを導入し、省電力で環境負荷の少ない装置を供給しています。こうして装置の設計・開発・製造から、お客さま先での使用に至る全ての段階でCO2削減を図ることで、サプライチェーン全体の脱炭素化に貢献します。

3)についてはこれまで説明してきた通り、コア技術である「見る・測る・分析する」を駆使して高度化する製造現場の要請に応え、持続的な半導体産業の発展を支えます。

日立ハイテクが供給する装置で作られた半導体は太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーや電気自動車、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の中核となるデータセンターなどに使われるため、間接的にも1)と3)に貢献しているといえます。

2020年のコロナ禍は、非接触やリモートワークを一挙に身近なものにしました。そして地球環境との共生に向けて経済や産業の変革が求められる中、社会のデジタル化はますます加速し、半導体の需要もこれまで以上に高まっていくでしょう。日立ハイテクは引き続き半導体の製造現場を支え、持続可能な未来の実現への貢献を目指します。

日立ハイテクグループが掲げる5つのマテリアリティ
日立ハイテクグループが掲げる5つのマテリアリティ

半導体や製造装置の基礎知識については、解説サイト「半導体の部屋」をご参照ください。
https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/knowledge/semiconductor/room/

2023-05-17

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