FEとはField Emission(電界放出)を意味し、先端が針状の陰極(電子放出素子)に強い電界を加えると高密度の電子が放出される現象です。このFE技術で、それまでの熱電子形陰極より約1000倍高密度(高輝度)の電子ビームが得られ、これを電子源に応用したのがFE電子源です。しかし、FE電子源は安定して機能させることが非常に難しく、当時は実用化が極めて困難な技術でした。そこで日立は、陰極を超高真空の状態に置けば安定することに着目。超高真空技術の確立に力を注ぎ、FE電子源の安定動作を実現し、これを電子顕微鏡の電子源に応用して、当時としては世界最高レベルの高分解能を達成しました。さらに現在では、真空の妨げとなる要因を徹底して見直し、FE電子源の安定性と信頼性を飛躍的に改善。よりいっそうの高分解能を実現するとともに、日立の電子顕微鏡の安定性と信頼性を実現する重要な基盤技術となっています。