自社の品質管理をアップデートするには
2023.10.24
品質管理
LabDAMS
ブログ
品質不正の報道などもあり、厳しい監査が顧客企業から求められる傾向にある品質管理。その波は中小・中堅メーカーにも及んでいます。あらためて品質管理をアップデートし、自社の信頼性と競争力を高めるために必要な観点をご紹介します。
検査業務の標準化が、属人化によるミスや不正を防ぐ。
製造業の品質管理は、工程管理、品質検証、品質改善で構成されると言われます。まずは作業手順を標準化し、従業員の知識や技術によってばらつきが生じないようにする工程管理は基本です。属人的な工程による作業ミスや、品質の均一化に課題が出ることを防ぎます。
ただ、製造工程については標準化を進めている企業でも、品質検査業務が標準化されていないことはまだ多いようです。紙に生データを記録する、エクセルを使う、販売管理システムに手入力する、といったように、検査者や工場によって記録する媒体がまちまちな検査の現場もまだ見受けられます。お客さまからの問い合わせがあったときに、「誰がいつどのような検査をしているか、履歴を辿ることができない」「書類をひっくり返してみると検査手法や計算の結果の違いさえ見受けられる」そんな課題を認識されている管理者の方もおられると思います。
品質に問題はないと報告されている場合でも、実は手間を省いた検査がおこなわれていたり、不十分なやり方が長年の現場の慣習になっており、その発覚が大きな信頼の失墜となるケースもあります。正確なデータが残されない検査環境では、納期に追われたり、長年これでやってきたから大丈夫だという意識が生まれ、悪意のないまま不正な行動につながってしまいます。
製品によってもさまざまな検査工程があったり、お客さまによって求められる検査のレベルが違ったりと、複雑な検査の管理を人の力だけで成り立たせている状況では、いつ事故が起こってもおかしくありません。作業に手一杯の現場からは、やり方を変えようという声は出にくいため、管理者の方が現場に介入し、問題意識を共有していただく必要があると思います。
「4M」のフレームワークで見えてくる改善策。
製造現場の課題の発見、問題解決に用いられるフレームワークに「4M」があります。Man(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)の4つの要素を分析することで改善策を見出すものです。品質検査業務についても、この4Mの観点での管理は重要です。
Man(人)については、検査業務の教育が徹底されているか、適切な承認権限が付与されているかが重要です。検査者が自分で承認するのではなく、管理者が確認して承認する仕組み、それを記録として残す仕組みが重要です。
Machine(機械)については、分析装置や検査装置の構成が適切か、機器が正しく動作するように調整されているか、このような設定をすれば半年間はきちんとした値が出せるという期限管理と、それに則った運用が必要です。
Material(材料)については、調達の際に自社で受け入れ材料の品質検査までおこなう企業もありますが、サプライヤ―からの報告を正としているのであれば、サプライヤ―へ定期的な検査プロセスの監査をしていくことが必要です。
Method(方法)については、検査業務の標準化と、適切な運用が重要です。定期的に検査工程の見直しをおこない、同じ検査をするとしても、例えば順序を入れ替えたほうが作業者の効率がよいならば改善を実施し、正しく効率の良い方法を確立していきます。
検査データ活用で、より上流からの品質改善も期待。
いつ、誰が、何を、どのように検査したのか。結果がどうだったのか。承認はどのようにおこなったか。変更をおこなった場合には誰がどのような理由で変更したか。これらのデータをきちんと取っていくことで、万が一問題が起きたとしても、原因や影響範囲の特定、ステークホルダーへの報告などへの対応の効率と正確性を上げることができます。
また、どのロットが、どのような要因で合格にならなかったという品質検査データが、より上流のプロセスにもフィードバックされることで、開発から製造の全体プロセスの効率化や歩留まり向上、品質のグレードアップにつなげることも可能です。設計段階からの改善が必要、製造段階のどのプロセスの改善が必要、仕入れる材料からの改善が必要、というように、部門の垣根を越えた改善プロジェクトを進める上でもデータは拠り所となります。
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