品質管理のDXを進めるには
2023.10.24
品質管理
LabDAMS
ブログ
品質不正の問題への危機感から大手メーカーを中心に進み始めた品質管理のDXが、中小・中堅規模の企業にも波及しています。自社のDXが何をめざすものなのかを整理し、ビフォーアフターを慎重に検討することで、投資を抑えながらシステムの導入をしていくことができます。日立ハイテクソリューションズのLIMS(Laboratory Information Management System:検査データ管理システム)導入を例に、確かな品質管理DXの進め方を紹介します。
いよいよ検討が進み始めた「守り」の部分のDX。
品質管理DXに関するセミナー参加者へのアンケートでは、「検査データがデジタルに保存されていない」「手作業のデータ入力が多く、ミスを防ぐ仕組みがない」「検査装置の種類が多く、データの一元管理が難しい」といった課題を多くの方が挙げています。
DXが浸透し始めて数年が経ちますが、積極的に投資をしても売上が上がるわけではない品質管理業務のDXはこれまで優先度が比較的低かったようです。必要度の高さから先んじて構築した製造や販売、出荷の管理システムと、後から構築した品質管理システムの連携ができないといった声も多く聞かれます。
しかし、大手メーカーを中心に、品質不正の問題が発生した際のインパクトの大きさを鑑み、品質コンプライアンスを強化する動きが広がっています。その大手メーカーからサプライヤ―の中小・中堅規模の企業にも品質に関する要望や問い合わせがあることで、品質管理のDXについて検討を始める企業が増えています。
デジタル化のために検査装置の更新から始めるケース、データ管理の自動化に進むケース、システムを先に構築して、随時、検査装置を更新してデータ連携させるケース、根本的に検査プロセスの見直しから取り組むケースなど、企業によって進捗や着手の順番はさまざまです。
まずは検査業務フローの詳細な可視化から。
品質検査業務に必要なワークフロー機能などを備え、品質検査に関する情報を一元管理できるのが、LIMS(Laboratory Information Management System:検査データ管理システム)です。品質検査業務の効率化、データインテグリティ対応の強化など、利便性・信頼性の向上に欠かせないシステムです。
日立ハイテクソリューションズでは「LabDAMS」というLIMSをご提供しています。検査機器、分析計を接続することでデータを自動で転送でき、検査効率の向上や記録ミスの削減、工場ごとの作業手順やデータの統一化、作業履歴を残すことで監査への対応も容易になるなど、お客さまから高い評価をいただいています。
導入に際しては、私たちはお客さまにおける品質管理DXの目的の確認と、現状の検査業務フローをヒアリングによって把握し、今の検査業務フローを可視化することから着手します。「このプロセスで分析結果を手入力している」といった現状認識をお客さまと合わせていきます。次に「LabDAMS」導入後の業務フローを可視化し、「ここは全自動で検査結果の合格・不合格を判定できる」といった改善点を詳細にご提示していきます。時間的・経済的コストと見合うかを判断いただいたうえで、次のステップに進みます。
できるだけ改造をせずにコストを抑えた構築を。
LIMSの導入を検討しながらも、お客さまが懸念されるのは、今までにない工程が増える場合についてです。たとえば、最初に試験指図をつくり、承認する工程など、検査履歴を残すために必要なプロセスだとしても、現状の業務フローに無いお客さまの場合、そのプロセスを加えるための時間や工数を懸念されることがあります。
その検討のためにも、現状の業務フローとLIMS導入後のフローを可視化することは有効です。可視化して比較することで、手間が大幅に減る工程もわかり、コストに対する効果を総合的に判断することができます。逆に、自社の検査において譲れないところが見えてくることもあります。
「LabDAMS」は標準パッケージでカバーしていない業務にも対応できるように、カスタマイズで自社専用に改修することも可能ですが、オプション機能をうまく使い、できるだけシステム改修をせずに初期投資を抑えた導入をお勧めしています。これにより、将来のアップデートやメンテナンスもスムーズになり、長期的にランニングコストを抑えながら新たな機能を活用していくことも可能となります。製造業での経験豊富な日立ハイテクソリューションズが、お客さまと打ち合わせを密にして共通認識をつくりながらDX化を進めていきます。
品質管理のDXは、品質に関する不祥事の発生といったリスクを減らす「守り」のDXという面があります。しかし、検査データを適切に管理することは、データをもとに製造、設計といった部門とのコミュニケーションができるようになり、全社的な品質向上にもつなげることができます。「守り」であり、「攻め」の基盤ともなる品質管理DXを一緒に実現していきましょう。