株式会社日立ハイテク(取締役社長:宮﨑 正啓/以下、日立ハイテク)は、このたび使用中および使用済みのリチウムイオン電池の性能劣化や余寿命を瞬時に評価する電池劣化高速診断手法(以下、本評価手法)を開発しました。本評価手法を軸に、日立ハイテクはリチウムイオン電池の残価分析や管理に関わる包括的なマネジメント・サービス提供に向けた事業の開発にも着手し、早期の市場投入をめざします。
リチウムイオン電池関連のサーキュラーエコノミー事業領域と本評価手法の関わり
近年、世界で広がる大気汚染や地球温暖化などの気候変動が進む中、CO2排出量の削減に向けた対策として、自動車業界ではガソリンや軽油が燃料のエンジンを動力源とする自動車から、電池とモーターを動力源とする電気自動車(Electric Vehicle、以下EV)への切り替えが、今後加速するものと予想されています。その一方で、EV用としての性能を発揮できなくなったリチウムイオン電池は、フォークリフトやゴルフカート用の電源や、店舗や家庭用の蓄電池として再利用・再製品化される動きが広がっています。そのため、リチウムイオン電池を適切に再利用・再製品化するために、電池の残存性能を正しく測定・選別することが重要となります。
さらに、今後は使用した資源やエネルギーを廃棄することなく、循環効率を高めて再び価値を生み出すサーキュラーエコノミー*1実現に向けたプラットフォーム作りが求められます。このような状況において、使用済みリチウムイオン電池をすぐに廃棄せず、再利用・再製品化を推進し、寿命をいかに長期化していくかという点が、リチウムイオン電池関連のバリューチェーンにおける新たな課題となっています。
このような課題を解決できるソリューションの一つとして、日立ハイテクは株式会社日立製作所研究開発グループ協力のもと、研究開発グループで考案されたアルゴリズム(計算手法)を用いて本評価手法を開発しました。これまでは、リチウムイオン電池の余寿命に関する主要指標であるSOH*2(State of Health)等を把握するために2~4時間を要していましたが、本評価手法を用いることで電流や電圧などの時間変化を瞬時に解析することができ、その時間を数秒~2分程度にまで短縮することが可能となりました。また、本評価手法は一般的な充放電分析機器に用いて実施できるため、既に導入済みの機器を活かした計測システムを容易に構築できるなど、お客様個別の状況に対応可能な汎用性の高いシステム展開性を有しています。
本評価手法のシステムは、フリート事業*3などでEV用のリチウムイオン電池として利用される段階から導入し、電池の使用状況をモニタリングすることで、電池劣化を予め把握することが可能となります。また、本手法を電池の再生工場ラインに組み込むことで、電池残存性能選別作業の半自動化もしくは自動化が実現されることになり、リチウムイオン電池の再利用・再製品化のさらなる効率向上が期待できます。このように、本評価手法は、リチウムイオン電池関連のサーキュラーエコノミー実現を推進する新たなプラットフォーム構築に貢献する手法として、将来的な活用が見込まれます。
日立ハイテクは、リチウムイオン電池劣化の分析・可視化を軸にしたデータマネジメント・プラットフォームの創出を通して、EVに使われるリチウムイオン電池のライフサイクル拡張と関連事業者の事業化推進を支援するソリューション事業の展開をめざしてまいります。今後も、顧客課題解決を起点とした高付加価値事業を創出し、モノづくり企業の課題解決に貢献するソリューションの提供に取り組むと同時に、資源の有効活用や環境負荷低減につながる持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
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