原子間力顕微鏡(AFM)
原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)は探針と試料に作用する原子間力を検出するタイプの顕微鏡です。広義ではSPMと同義ですが、コンタクトモードやコンタクトAFMと呼ばれることもあります。AFM探針は、片持ちバネ(カンチレバー)の先端に取り付けられています。この探針と試料表面を微小な力で接触させ、カンチレバーのたわみ量が一定になるように探針・試料間距離(Z)をフィードバック制御しながら水平(X、Y)に走査することで、表面形状を画像化します。コンタクトAFMモードは多機能型SPMの基本になる測定モードで、カンチレバー種類や信号検出の方法を変えることにより様々な物性測定が可能となります。
カンチレバーの押し付け力(たわみ信号)は「光てこ方式」により検出されます。下図の様に半導体レーザーをカンチレバー背面に照射し、反射したレーザー光を上下で2分割または上下左右に4分割された位置センサーで検出します。AFMでは、たわみ量が常に一定になるようにスキャナの伸び縮みを制御(Z電圧フィードバック)しながら試料表面上で水平(X、Y)に移動させることで試料表面の形状を得ることができます。
AFM用マイクロカンチレバー
試料種類を問わず絶縁物でも測定可能であり、探針も半導体プロセスで製造され、安価に大量供給されているため広く普及しています。主に窒化シリコン製やシリコン製のカンチレバーが市販されています。
Si3N4製 AFM用カンチレバー(SN-AF01)
このタイプは1つの本体にカンチレバーが2種類ついています。一般にバネ定数0.08N/mの方がよく用いられます。
シリコン製 AFM用カンチレバー(SI-AF01)
窒化シリコン製のSN-AF01と比べ、探針の高さが高いので、凹凸のある試料にも対応できます。
AFMフォースカーブ
スキャナを上下動させ、探針・試料間距離とカンチレバーに働く力(たわみ量)との関係をプロットした曲線はフォースカーブと呼ばれます。探針・試料間に作用する吸着力や、試料の硬さに関する情報が得られます。