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日立ハイテク
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NEXTA®シリーズのアプリケーション(STA)

定量精度を高めるNEXTA STAのベースライン性能

質量変化の前後で質量の差を読み取る熱重量測定(TG)の解析においては、ベースラインドリフトは、試料の質量変化と重なって検知され正確な解析に影響を与えるため、ベースラインの安定性が測定精度に大きく影響します。日立が世界で初めて開発したデジタル水平差動型天秤機構はパージガスによる浮力の影響を受けにくい構造を持ち、サンプル以外で発生した挙動をリファレンス側でキャンセルすることで、より安定したベースラインを提供します。さらに、新設計の天秤安定技術を搭載し、ベースライン性能を向上させたNEXTA STAでは、幅広い温度範囲で僅かな重量変化を検出でき、材料が必要な性能と品質基準を満たしていることを確認できます。

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最大1000ml/minの高ボリュームガスパージ
試料から発生する分解ガスを素早く取り除き加熱炉内の汚れ防止
デジタル水平差動型天秤機構

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プラスチック中の微量異物の定量

プラスチックに異物が混在している際に、その微小な混入量を
定量するためにTGが使用されます。含有量1%程度の微量異物でも、
高精度で定量することが可能です。

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含有水分の定量

医薬品では、薬局方にて熱分析の使用が認められており、
乾燥減量試験法としてSTAが使用されています。乾燥減量が
微小なサンプルでも精度よく定量でき、また、高温保持中の
熱分解による減量有無も判定可能です。

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試料観察が進化!熱分析データと連動する多様な色彩解析

日立が世界で初めて開発したRealView®試料観察STAは装置に搭載した高解像度カメラにより、測定中の試料の状態変化を連続した画像でリアルタイムに観察することが可能です。測定全体を通して、事前に設定した間隔で試料画像を取得し、画像データとして温度や熱分析信号と関連付けて保存ができます。さらに、取り込んだ画像の解析がソフトウェア上で行え、デジタルズーム、測長機能に加え、日立独自の色彩解析(RGB/CMYK/L*a*b)などの多彩な解析機能を提供し、熱分析のデータだけでは得られなかったより詳しい試料の熱的挙動の解析を可能にします。トラブルシューティングでの原因解析や測定データの社内共有、また、熱分析の知識がない人でもデータの理解を深めることにも役立ちます。

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試料観察対応モデル STA200RV
日立独自の色彩解析やデジタルズーム、測長などの様々な解析に対応
ビューポート搭載加熱炉 特許登録番号:第6061836号

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日立独自の色彩解析ではRGB、CMYK、L*a*bの3種類の色表現による解析結果を熱分析データと同じグラフ上に表示することができます。RGB値解析は光の三原色である赤、緑、青の組み合わせで、全ての色を混ぜ合わせると白くなります。オイルの曇点やポリマーの融解、構造相転移などの試料の色変化に広く使われます。CMYK値解析はシアン、マゼンタ、イエロー、キープレートの4色で構成され、全ての色を混ぜると黒くなります。主にインク・トナー関連試料での色評価に最適です。L*a*b* 色空間では、明度をL*、色相と彩度を示す色度をa*、b*で表します。この内b*値が高くなるほど黄色くなることを示すため、樹脂などのポリマーの劣化による黄変の評価に有効です。

色彩解析の種類とアプリケーションの一例

RGB
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CMYK
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L*a*b*
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試料の白色変化 -
インク・トナーの色評価 -
ポリマーの黄変 - -
オイルの曇点 -
ポリマーの融解 -
構造相転移に伴う色変化 - -

硫酸銅五水和物のRGB色彩解析

RGB値解析は画像中の試料の色を赤、緑、青の3色の値で表しグラフ化
するものです。右図のように、硫酸銅後水和物(青色の結晶)の脱水による
質量減少(TGデータ)と同じグラフ上に白色変化していく様子を表示し、
質量減少と色変化の関係性を確認することができます。

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感熱紙のCMYK色彩解析

CMYK値解析 は主にインクでの色の表現に使われる
シアン、マゼンタ、イエロー、キープレートの4色で表現されます。
緩やかな質量減少中に感熱紙が色とりどりに変化する様子を
何度で何色に変化したかを数値で確認することができます。

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複合材料のL*a*b*色彩解析

L*a*b* 色空間では、明度をL*、色相と彩度を示す色度をa*、b*で
表します。b* 値は、加熱や時間経過に伴う試料の黄変を評価する
指標として有効です。セルロースナノクリスタルとポリプロピレンの
複合材の TG測定を行い、試料の黄変を示すb*値の上昇が、
TG信号が質量減少を示すよりも低温域から発生していることが
わかります。

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汎用DSC装置では対応できない高温域でのDSC測定

DSC機能が標準搭載されたNEXTA STAは、熱重量測定(TGA)と示差熱測定(DTA)または熱量測定(DSC)を1つの装置で同時に測定することで、対象材料のより詳細な情報を知る事ができます。汎用DSC装置では対応できない無機材料やセラミック試料の高温域(最大1500℃まで)の相転移の評価や、分解発生ガスによるDSCセンサー腐食の可能性等の理由により好まれない昇華、蒸発、熱分解などのDSC測定にも対応します。
金属材料の場合、酸化することで反応温度が変化することがあるため、不活性雰囲気で酸化を抑えながら測定することが重要です。NEXTA STAに搭載した新しいガス流路での高いガス置換性は、真空引きをせずに低酸素環境下での測定を実現し、無機材料の正確な測定を可能にします。

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3種の混合ガスにまで対応する柔軟性のあるサンプルパージガスと
天秤保護ガスパージの2流路で効率的にガス置換
プログラム上でガス切替ができ、ベースラインへの影響も最小化

NEXTA STA(TG-DSC)と汎用DSC装置の使い分け

NEXTA STA(TG-DSC)NEXTA DSC(汎用DSC)
DSC熱量精度
分解ガスが発生する試料の測定
高温度域の測定(725℃以上) ×
室温以下の測定 ×

不活性雰囲気下での金属の測定

金属試料(鉄粉)の熱測定においても、酸化による質量増加や
酸化発熱を抑えて正確な構造変化のピークを捉えます。

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高温域での比熱容量がわかるNEXTASTAの温度変調DSC測定*

 比熱容量を測定する方法として、示差走査熱量測定(DSC)が用いられています。また、温度変調DSC(TM-DSC)では、振動加熱により試料の比熱容量に依存したDSCシグナルの振幅が得られ、比熱成分としてのDSC曲線を算出できます。NEXTA STAは、加熱制御技術によって、従来の測定モードに加え、温度変調モードを搭載し、汎用DSCでは測定できない高温域まで温度変調DSC測定が可能になりました。感度較正をお客様にて実施することで、測定毎の基準物質測定が不要となり、1000 ºC以上の高温まで広い温度域の一括測定が可能になります。

*オプションソフトと容器フタが必要です。

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