微小領域の高精度な熱物性評価を実現する「偏光顕微観察オプション」を発売
2023年12月20日
株式会社日立ハイテク
熱分析オプション「偏光顕微観察オプション」
株式会社日立ハイテクサイエンス(以下、日立ハイテクサイエンス)は、熱分析装置NEXTA®DSCシリーズ(以下、DSCシリーズ)のオプションとして装置上部に設置する「偏光顕微観察オプション」(以下、本オプション)を発売しました。本オプションは日立ハイテクサイエンスにて製造および国内・海外向けに販売し、海外向けにはHitachi High-Tech Analytical Science Ltd.からも販売します。
本オプションは、機能性フィルムを開発・製造するお客さまにおいて、これまで解析手法が確立されておらず困難な業務とされていた、フィルムの不良原因となるフィッシュアイ*1の解析に主に活用いただけます。従来、フィッシュアイの発生低減にあたり、熱分析装置などの加熱装置と顕微鏡などの解析装置を組み合わせて融点を解析していましたが、本オプションの採用によりフィッシュアイの融点解析を1台で可能にし、業務の効率化に貢献します。
また、本オプションは高解像度カメラおよび偏光観察機能を備えたカメラユニットと、偏光観察に特化した独自開発の画像処理機能を搭載しました。これにより、非常に小さな異物で従来は高解像度下での観察が難しかったフィッシュアイをはじめとしたさまざまな物質の高精度な熱物性評価、および構造解析を可能にします。
*1 フィッシュアイ:フィルム製造時に未融解のまま残った樹脂の一部で製品の欠陥・不良箇所となるもの。
本製品開発の背景
熱分析装置は、産業分野を中心に基礎研究から製品開発、品質管理など幅広く各種材料の分析に活用されており、DSCシリーズは、物質を加熱した際の結晶が生成される温度や融解する温度などを測定します。食品の梱包や電子機器のディスプレイなどに使用される機能性フィルム分野においては、高い機能を発揮するためにフィルム表面の平滑性を確保する低フィッシュアイ化や、酸素や水蒸気など気体の遮断性を高め梱包した物体の品質を保証するためのガスバリア性を向上する複層フィルムの開発が求められています。フィッシュアイ低減を目的とした製造工程改善箇所の絞り込みや、複層フィルムの開発段階における融点分析、結晶配向などの基礎的な研究の高精度化・効率化対してDSCの活用ニーズが高まっています。
主な特長
1.高解像カメラの採用
本オプションでは20メガピクセル*2の高解像カメラを採用し、従来比*310倍の高解像度および50倍のデジタルズームの対応を実現しました。これによりフィッシュアイをはじめとした微小領域の観察を可能にしました。
*2 有効画素数:4800×3600
*3 DSCのオプションとして提供している「試料観察オプションReal View®」との比較。
2.偏光調整ユニットと画像処理機能による融点解析
新たに開発した独自の画像処理機能によって、これまでDSCシリーズだけでは検出が難しかった微小領域の融点解析を実現しました。また、偏光調整ユニットで測定対象箇所を鮮明化させた後は、DSCシリーズでの測定と同様の簡単な操作で、フィッシュアイや複層フィルムの層ごとの融点解析を行うことができます*4。
*4 融点解析方法:測定対象箇所の明るさ(輝度)の変化率と温度変化のデータを出力し、輝度の変化率がピークを指す部分の温度を読み取ることで、物質の融点を高精度に測定する。
日立ハイテクサイエンスは、幅広い分野における研究・開発、品質管理業務を支え、人々の QoL 向上に貢献していきます。今後も日立ハイテクグループは、「解析・分析」のコア技術を磨きあげるとともに、お客さまの課題解決のためのソリューションのプラットフォーム化・専用装置化に取り組み、「環境・レジリエンス・安全安心」の分野における社会やお客さまの課題解決に貢献していきます。
※ 「NEXTA®」は日本・アメリカ・欧州・イギリス・韓国・台湾、「Real View®」は日本・アメリカ・中国・欧州・イギリス・インド・トルコ・ブラジルにおける日立ハイテクサイエンスの登録商標です。
「偏光顕微観察オプション」関連サイト
日立ハイテクについて
日立ハイテクは、2001年、株式会社日立製作所 計測器グループ、同半導体製造装置グループと、先端産業分野における専門商社である日製産業株式会社が統合し、誕生しました。2020年、日立製作所の完全子会社となり連携を強化していくことで、社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現をめざしています。
医用分析装置、バイオ関連製品、分析機器、半導体製造装置、解析装置の製造・販売に加え、社会・産業インフラ、モビリティなどの分野における高付加価値ソリューションの提供を通して、グローバルな事業展開を行っています(2023年3月期日立ハイテクグループ連結売上収益は6,742億円)。
詳しくは、日立ハイテクのウェブサイトをご覧ください。
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株式会社日立ハイテクサイエンス FS第一設計部 [担当:西村]
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