2024年9月24日
由風BIOメディカル株式会社
株式会社日立ハイテク
由風BIOと日立ハイテクグループが再生医療分野における「迅速無菌試験」技術に関する共同研究を開始
由風BIOメディカル 細胞培養加工施設写真
日立ハイテクサイエンス製
微生物迅速検査装置「Lumione BL3000」
沖縄県を拠点に再生医療事業と検査技術開発を展開する由風BIOメディカル株式会社(以下、由風BIO)と、グローバルに分析・解析装置などの開発・製造・販売を行う株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク)および株式会社日立ハイテクサイエンス(以下、日立ハイテクサイエンス)は、このたび「迅速無菌試験」技術に関する共同研究(以下、本研究)を開始します。
再生医療の分野においては、患者の検体を細胞培養加工施設で加工・培養して調製される細胞薬(例えば、特定細胞加工物)を用いますが、細胞薬の安全性試験として無菌試験、エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験などを実施し、いずれも陰性であることを確認する必要があります。
各試験の中でも特に無菌試験は、試験データが出るまで最長2週間を要するため、迅速に細胞薬を投与する必要がある症例に対しては、調製から投与までのリードタイムの長さが患者にとって課題になっています。また、医療機関においても、より安全な再生医療の提供をめざすうえで、細胞薬の安全性を定量化する手段として、細胞薬の投与残渣についても無菌試験のニーズが高まっています。しかし、従来の無菌試験法では、必要なタイミングで試験データを入手できず、有効活用が困難なことが課題になっていました。
由風BIOでは、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)に基づく特定細胞加工物製造許可(施設番号FA7230002)を取得しました。これに伴い、RIKEN-NKT(NKT細胞標的治療)用αガラクトシルセラミドパルス樹状細胞*1、脂肪由来間葉系幹細胞(MSC)*2、多血小板血漿療法(PRP)*3用細胞加工物、次世代PRP用細胞加工物など、さまざまな症例に適用する細胞薬を提供することができます。
日立ハイテクサイエンスでは、迅速高感度検出法であるATP*4生物発光法(以下、ATP法)を採用した微生物迅速検査装置「Lumione® BL3000(以下、BL3000)」*5を2022年より提供しており、医薬品、医療部材、食品、飲料、化粧品をはじめとした多くの分野で測定実績を重ねています。
本研究では、「BL3000」を用い、ATP法の強みである迅速性を生かしながら、再生医療における検体や細胞薬に対しても高感度な無菌試験を実施するための研究を実施します。日立ハイテクグループは、前処理用の試薬や無菌試験のプロトコル(実施計画)を開発し、由風BIOが検体や細胞薬に対する試験・開発を行います。
由風BIOと日立ハイテクは、本研究を通して、再生医療の安全性向上や導入のハードル低減につなげ、人々のQoL(Quality of Life)向上に貢献していきます。
*1 国立研究開発法人理化学研究所発、株式会社理研免疫再生医学発のがん免疫再生医療であり、「RIKEN-NKT」は株式会社理研免疫再生医学の登録商標
*2 脳卒中予後、脊椎損傷症予後、慢性疼痛等に適用
*3 Platelet-Rich Plasma;変形性膝関節症、半月板損傷、筋肉損傷、腱損傷、難治性潰瘍・褥瘡等に適用
*4 Adenosine Triphosphate;アデノシン三リン酸
*5 「Lumione」は、株式会社日立ハイテクの日本国内における登録商標
※ 本ニュースリリースは、ステークホルダーの皆さまに企業活動をお伝えするものであり、当社製品に関するプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
関連リンク
本プロジェクトの概要
目的 | 再生医療における検体及び細胞薬の迅速無菌試験法を実現 |
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期間 | 2024年7月1日から2025年6月30日の1年間 |
達成目標 | 24時間以内に無菌試験を完了する検査試薬およびプロトコルの実証 |
将来展望 | 由風BIOの無菌試験に共同研究成果を自社導入 日立ハイテクグループにて検査試薬・バリデーションの事業化 検査事業における日立ハイテクグループと由風BIOの協業 |
由風BIOについて
2020年6月、キヤノン株式会社(2020年5月退職)でライフサイエンス系全社プロジェクトをプロジェクトマネージャーとしてけん引した実績のある代表取締役社長 博士(工学)中濵数理と、那覇市出身の実業家である代表取締役副社長 谷正風が共同で設立し、沖縄県うるま市の沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター・沖縄バイオ産業振興センターを拠点に体外医薬品開発と再生医療事業展開を進めるバイオベンチャーです。
日立ハイテクサイエンスについて
日立ハイテクサイエンスは、日立ハイテクの連結子会社で、蛍光X線分析装置、熱分析装置、ICP発光分光分析装置など分析装置の開発、製造、販売、保守、および関連部品・消耗品の販売により、幅広い分野における研究・開発、品質管理業務を支えています。
詳しくは、日立ハイテクサイエンスのウェブサイトをご覧ください。
日立ハイテクについて
日立ハイテクは、医用分析装置、バイオ関連製品、放射線治療システム、半導体製造装置、分析機器、解析装置などの製造・販売に加え、モビリティ、コネクテッド、環境・エネルギーなどの産業分野における高付加価値ソリューションの提供を通して、幅広い事業領域においてグローバルな事業展開を行っています(2024年3月期日立ハイテクグループ連結売上収益は6,704億円)。強みである「見る・測る・分析する」というコア技術をベースに、事業を通してさまざまな社会課題解決および持続可能な社会の実現に貢献していきます。
詳しくは、日立ハイテクのウェブサイトをご覧ください。
お問い合わせ先
由風BIOメディカル株式会社
再生医療事業部 [担当:中濵]
株式会社日立ハイテクサイエンス
営業本部 [担当:足立]