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日立ハイテク
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CASE STUDY

国内外20以上の施設で稼働する
がん治療機器の安定稼働をリモートからバックアップ。

粒子線治療装置の運用監視(日立製作所)

株式会社日立製作所

植村典弘さま
日立製作所 ヘルスケア事業本部 ヘルスケアイノベーション事業部
スマートセラピー本部 システム本部 サービス部 所属
現在、デジタル技術を活用した保守サービスの高度化に従事
博士(理学)

対象装置
粒子線治療装置
目的
がん患者の治療スケジュールへの影響を低減する稼働管理と予防保全
自動予兆アラートシステムとの連携
導入効果

1不具合対応時にリモートメンテナンスを活用し、復旧時間を短縮

2収集データを予防保全に活用し、保守の効率を向上

がん細胞を消滅させるために粒子線を照射する粒子線治療。体を切らずに通院治療ができ、患者さまへの負担も小さいことで、現代のがん治療に欠かせない手段となっています。国内外の20以上の粒子線治療施設に納入されているのが、日立製作所の粒子線治療装置です。日々、多くの患者さまへの治療をおこなうこの装置の保守を、日立ハイテクのIoTソリューションが支えています。保守サービスの高度化に従事されている日立製作所の植村典弘さまに、IoT導入の経緯や効果についてお聞きしました。

医療機関のご要望、広がるニーズにお応えするには、保守サービスの高度化は不可欠。

「医療機関のお客さまからは、1日により多くの患者さまを治療したいというご要望があり、高い稼働率が常に求められています。そのご要望にお応えするため、私たちは熟練の保守員による迅速な対応で高い稼働率を実現してきました。しかし、ニーズの高さから、さらに治療施設数が増えることが見込まれており、限られた人員で保守サービスの品質を維持するには、IoTは不可欠だと感じていました」。

日本国内だけでなく、米国の複数の病院、ヨーロッパにも日立製作所の治療装置は納入されており、今後も香港、シンガポール、台湾などで治療施設の開設を予定。さらなる事業の拡大を、保守サービスの高度化で支えたいと、日立ハイテクにご相談をいただきました。

「長年にわたって日立ハイテクがIoT事業を続けていて、リモートサービスの構築経験が豊富だったことが決め手でした。2019年に「ThingWorx®」という新たなIoTプラットフォーム製品の活用を始めました」。

障害の未然防止や適切なタイミングでのメンテナンスが可能に。コストも低減。

今回、日立ハイテクでは、IoTプラットフォーム「ThingWorx」を活用し、粒子線治療装置の機器のトレンドデータを蓄積、分析、可視化して監視するためのシステムと、障害を未然に防止するための警報通知やレポートの自動作成など、課題解決のためのソリューションを提供しました。導入の効果について、植村さまにお聞きしました。

「それまではかなりの時間と労力をかけて機器の状態を監視するためのトレンドデータの解析をおこなっていました。それが今回、導入したシステムによって、各地の装置をほぼリアルタイムにリモートで監視できるようになり、いちはやく障害の予測が可能となりました。現地保守員の日々の点検では見えないようなところもリモートで監視できています」。

治療において特に重要な粒子線を照射する精度の維持のため、ビームのポジションや線量、装置を動かすための電流や電圧の値をモニターし、閾値を超える前に調整する対策を可能に。装置のエラーの数をカウントすることで部品の交換時期を推定する精度も向上したとのこと。「障害発生時の不必要な海外出張が減り、保守サービスのコストも低減させることができています」。

「産業用IoTの実績が豊富で、理解が深い。私たちのやりたいことを汲み取ってくれました」

今回の導入は3年計画でおこないました。1年目は、サーバーの構築と現地の端末に入れるソフトウェアの開発。2年目は、吸い上げたデータを解析して、グラフ化・可視化するシステムなどを構築。3年目には、解析したデータを使ったレポート作成の機能を構築しました。

「日立ハイテクは産業用IoTの実績が豊富で、営業の方も技術の方も私たちのサービスや内容をよく理解してポイントを押さえてくれていたので、開発は進めやすかったです。こういうことをやりたいという私たちの相談やアイデアを、いろいろと良い形で仕上げてくれました。いくつか障害はありましたが、その障害を回避する提案もしていただいて、良いものをつくることができました」。

近年、重要性を増している情報セキュリティについては特に気を配って堅牢な対策をおこなっています。専用回線を導入し、さらにVPNを構築。専用の端末以外からは現地の機器にアクセスできない仕組みを構築しています。

障害発生時の原因特定など、さらに高度なデータ活用をバックアップ。

今後は、装置データのより高度な活用も視野に入れていると植村さまは話してくださいました。「治療装置においては、障害を未然に防ぐことが重要ですが、もし障害が発生したときに迅速に対応することも重要です。装置はかなり多くの機器から成り立っていますので、不具合の原因の特定は、熟練の保守員でない限り容易ではありません。装置が止まったときに、障害の発生した箇所をいち早く見つけ、部品交換や修理をして復旧することが必要になります。収集したデータと、AIを活用することで、迅速な障害の原因特定の仕組みづくりを進めたいと考えています」。

IoTプラットフォーム「ThingWorx」は拡張性が高く、その後のデータ活用の可能性が大きく広がる点も、多くのお客さまに選ばれている理由です。今後も日立ハイテクは、お客さまに伴走しながら、医療の最前線を担う装置の安定稼働を支えていきます。

日立製作所 粒子線治療装置

※ThingWorxは、PTC Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標です。

株式会社日立製作所
事業内容
・デジタルシステム&サービス
(金融ビジネス、社会ビジネス、ITサービス、サービス&プラットフォーム)
・グリーンエナジー&モビリティ(エネルギービジネス、モビリティビジネス)
・コネクティブインダストリーズ(ビルシステム、ヘルスケア、インダストリー)
・日立Astemo(オーティブシステム事業)
従業員数
29,485名(2022年3月末現在)

導入前のご相談・ご質問など
お気軽にお問い合わせください。

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