半導体の部屋
半導体の製造
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半導体の計測と検査
半導体製造工程の管理のため、「計測」と「検査」が重要です。
半導体ウェーハ製造の全工程は、400~600工程ほどあり、1カ月~2カ月かけてつくられます。工程初期に不良が発生すると、その後の長い工程の作業は、無駄になってしまいます。そこで、工程の要所要所に計測・検査工程を設け、一定の歩留まりを確認・維持しながら製造を進めて行きます。
計測:半導体ウェーハ処理工程における計測(Metrology)
「計測」とは一般に、機器などを用いて数量などを計ることです。
「計測」は、しばしば測定(measurement)と同義に扱われますが、測定行為そのものだけではなく、誤差・精度や機器の性能・手段などを考慮して行う、より包括的な概念です。
パターン寸法が、仕様の範囲内に入っていないと、製造したデバイスが設計通りに動作しません。この場合、回路パターンの露光転写をやり直す(リワークする)ことがあります。
測定点数は、半導体デバイスメーカーやデバイスによってまちまちです。1ロット(ウェーハ:25枚)でウェーハ:1~2枚、1ウェーハでダイ:5~20個、1ダイ:10~100点程度の点数をサンプリングして計測します。新設計のデバイスでは、工程立ち上げ時には、1ウェーハで数千点におよぶ計測をすることもあります。
半導体デバイスの回路パターンの各種寸法を測る半導体計測装置には、以下のようなものがあります。
測長SEM
ウェーハ上の特定位置の回路パターンの線幅や、穴径等の寸法を測ります。
測長SEMについては、「CD-SEM(測長SEMとは)」で特長や原理、画像例を紹介しています。
(例)L=28nm,Φ=30nm
1nm:1ナノメーター、1/1,000,000,000m
ちなみに、以下のような寸法があります。
髪の毛:60~100μm(60,000~100,000nm)
バクテリア:1μm(1,000nm)
たばこの煙:100nm
エリプソメータ
ウェーハ上の薄膜の膜厚などを測定します。
(例)D=100nm
重ね合わせ検査装置
半導体基板上に転写された第1層パターン、および第2層パターンのショット重ね合わせ精度を求め、誤差を計測します。
検査:半導体ウェーハ処理工程における検査(Inspection)
検査とは、検査装置を用いて基準に照らして、適・不適や、異常・不正の有無などを調べること。ウェーハ上の異物,欠陥の検出プロセスです。
具体的には、欠陥の位置座標(X,Y)を求めることです。
欠陥の原因の一つは、ごみや異物の付着です。そのため欠陥は、何処に発生するか予測できません。ウェーハ上に欠陥が多く発生すると、回路パターンが正常に形成されず、パターンの欠けなどが発生します。欠陥が多い場合は、電子回路として正常に作動しないので、そのウェーハは、不良品としてロットアウトになります。
欠陥を検出して、場所(位置座標)を特定することが、検査装置の第一の役割です。
検査装置については、「ウェーハ欠陥検査装置とは」で原理や特徴を説明しています。
- 半導体の製造2. 半導体の計測と検査
- 半導体の製造1.半導体製造工程
- 半導体の製造3.正確度と精度