中期経営戦略
コア技術「計測・分析・解析」から事業を創生し、社会課題起点での価値を創出
1.2024中期経営計画の位置づけ
日立ハイテクは、2021中期経営計画において、経済価値だけでなく、社会・環境価値を高め、社会に必要とされ続ける企業であることをめざしてきました。この2021中期経営計画の成果と実績を踏まえ、世の中の変化に伴い今後ますます重要性が増す社会課題解決に、コア技術である「見る・測る・分析する(計測・分析・解析)」力で大きく貢献し、持続可能な社会の実現をめざして、2022年度から2024年度までの「2024中期経営計画」(以下、2024中計)を策定しました。
2.2024中期経営計画策定の背景
気候変動の深刻化、パンデミックや地政学的リスクなど、「環境、レジリエンス、安全安心」に対する社会課題解決の重要性が高まっています。そうした中、日立ハイテクが強みとしている「見る・測る・分析する」は今後もそのニーズが拡大し、社会課題解決に必要不可欠です。
日立ハイテクは、こうした社会環境の変化や事業機会の拡大に伴い、日立ハイテクグループの将来のありたき姿を明確にし、社会課題起点で価値を創出していく姿勢を示す「サステナビリティ宣言2030」を掲げました。そして、2030年のありたき姿からバックキャストして、「2024中計」を策定しました。
3.2024中期経営計画の内容
経営方針
サステナビリティ宣言2030を掲げ、社会課題起点で価値を創出
~社会課題解決のため、計測・分析・解析コア技術から事業を創生し、高収益事業ポートフォリオを形成~
日立ハイテクグループが成長するために
日立ハイテクグループは、これまで汎用装置からお客さまの課題解決に特化した専用装置を生み出し、事業を創生することで成長してきました。社会の環境が大きく変化する中においては、日立ハイテクグループの「見る・測る・分析する」力で、社会課題解決に貢献できる機会は数多くあります。今後、私たちが10年、20年先も社会に貢献し、持続的に成長するためには、ヘルスケア事業、ナノテク(半導体)事業をはじめとした既存事業の強化に加え、さまざまな分野で社会課題解決に貢献できる新たな事業を創生していくことが必要不可欠です。また、事業の安定継続と成長のため、社会環境の変化に柔軟に対応できる強固な経営基盤を築くことも重要だと考えています。
2024中期経営計画の実現に向けた重点取り組み
(1)既存事業の強化
デジタルの融合と顧客協創を深めることで、既存の主力事業であるヘルスケア事業、ナノテク(半導体)事業をはじめとする既存事業をさらに強化していきます。
- ヘルスケア事業では、主要なパートナーとの協創の深化を通して、「分析・自動化技術」とデジタルの融合による新たな価値創出を進めるとともに、分子診断分野への参入による検査領域の拡張などポートフォリオの拡充によって成長を加速します。
- ナノテク(半導体)事業では、お客さまとの協創拠点を拡充・立ち上げ、デジタルを活用したソリューションを提供するなど、開発・製造効率向上などの顧客課題解決に貢献することで成長を加速します。
- 社会・産業インフラや、モビリティ、環境をはじめ、さまざまな分野で顧客課題解決のため提供している既存の「見る・測る・分析する」を活用したソリューションをさらに強化していきます。
(2)事業創生力の強化
持続可能な社会の実現に貢献するため、「コア技術・基盤事業」を軸に、グローバルに事業展開する「フロント力・課題解決力」と、顧客協創を通した「事業開発力」の三位一体活動を行うとともに、Lumadaを活用することにより、新事業を創生します。
- 大学や研究機関などと連携しながら、先端技術開発を強化し、解析・分析の「コア技術・基盤事業」を徹底的に磨き、注力市場における専用計測・検査ソリューションの創出をめざしていきます。
- 専門商社として培ってきたグローバルな顧客基盤やビジネス創出力を生かした「フロント力・課題解決力」の強化により、協創パートナーとの連携も活用しながら顧客課題解決を図っていきます。
- 真の顧客課題を見つけ出し、その課題を解決するソリューションをお客さまとスピーディーに試作・検証し、高付加価値ソリューションを創生する「事業開発力」を強化し、社会や顧客課題を起点とした新たな注力領域探索や事業創生の強化を推進していきます。
(3)経営基盤の強化
不確実性が高まる世の中においても新しい価値を創出していくため、私たちは社会の変化に柔軟に対応できる強固な経営基盤を築いていきます。
- 専門商社として培ってきたグローバル調達機能と、モノづくりにおける調達機能を統合し、サプライチェーン全体でのリスク管理を強靭化することで、「サプライチェーンレジリエンス」を強化していきます。
- バリューチェーン全体でのCO2排出量削減などの脱炭素化、水・資源循環型社会実現に向けた資源利用効率向上、自然共生への取り組みにより、10年後、20年後も持続的成長を続けるため、「環境価値」を創出して、社会的責任を果たしていきます。
- 事業環境の変化や多様化する顧客課題の解決にスピーディーに対応するため、業務プロセスのシンプル化やグローバル標準化、経営のデジタル化などの「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推進し、経営のスピードアップを図っていきます。
- 複雑で変化の激しい社会環境に柔軟に対応するため、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を推進し、さまざまな経営課題解決に向けて多様な人財を最大限に生かしていきます。
4.日立グループとの連携
日立ハイテクは、日立製作所におけるコネクティブインダストリーズセクターの一員として、Lumadaを核として幅広い分野の強いプロダクトをデジタルでつなぎ、お客さまとの協創によるソリューションを提供することで、複雑かつ複合化する社会課題へ対応していきます。