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正確なスペクトルを測定するために

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吸光光度法は、照射した光の減り具合を見ているのに対し、蛍光法は発光を観察しているため、照射した光と観測している光の波長は異なります。このため、蛍光法は吸光と比べ、高感度(低濃度測定が可能)、情報量が多い(励起スペクトル、蛍光スペクトルの取得)などの利点があります。
しかしながら、蛍光光度計では、ランプなどの光学部品が特有の波長特性を持っているため、装置間の機差が発生したり、散乱光の影響による、2次光などの多次光が測定の妨害となる場合があります。

ここでは、装置間機差を補正(少なく)するための方法や、散乱光の除去に関する方法を紹介します。

フィルターセットの効果

表面測光では散乱光の影響により2次光などの多次光が測定の妨害となります。多次光を除くにはカットフィルターが有効です。
蛍光は励起光よりも長波長で観測されるストークスの原理を生かしています。
サリチル酸ナトリウム(粉末)のデータによる、カットフィルターの効果を紹介します。
フィルター(UV35)の利用により、検出器に導かれる散乱光をカットし、2次光の発生が抑制されました。

フィルターセット
フィルターセット
サリチル酸ナトリウム(粉末)の測定例
FL Intensity(Relative)

3次元データより抽出したデータでも紹介します。
2次元データ上でもスペクトルと重複した2次光の発生が抑制されていることが分かります。

スペクトル補正キットの効果

正確なスペクトルを得るために行うスペクトル補正について紹介します。蛍光光度計のランプや検知器は、それぞれ波長特性を持っています。
測定したスペクトルは特性が反映されたデータになるため、真のスペクトルを得るためには補正が必要になります。
一般的にはローダミンB濃厚溶液や副標準光源がセットになったスペクトル補正キットを使用します。
ここではサリチル酸ナトリウム(粉末)のデータによる、スペクトル補正後の効果を紹介します。
補正の有無により、3次元データに変化が見られ、波長特性の影響が確認できました。

スペクトル補正キット
スペクトル補正キット
サリチル酸ナトリウム(粉末)の測定例
FL Intensity(Relative)

認証値と測定データの比較を紹介します。
NIST SRM 936a 硫酸キニーネについてスペクトル補正の有無による認証値との比較を行いました。
文献や他の装置とスペクトル比較をする際にも、補正が効果的であることがわかります。

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