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マテリアルズ・インフォマティクス関連サービス導入事例

株式会社巴川コーポレーション様

製品設計の最適化に向けた人材育成にマテリアルズ・インフォマティクス技術を活用

株式会社巴川コーポレーションは、製造開発分野の最適化に向けて、SaaS型のマテリアルズ・インフォマティクス(MI)のツールと、データサイエンティストによる分析支援サービスを採用。
ベテラン開発者のナレッジをデジタル化し、若い開発者の育成を実施中。

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▼この事例に関するソリューション・商品

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課題・背景

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株式会社 巴川コーポレーション
iCasカンパニー開発本部
技術研究所 兼 粘接着開発グループ
阿部 一智 氏

巴川コーポレーションでは、製品設計における原料や製造条件の最適化を開発のエンジニアが担当しています。しかし一人のエンジニアが原料や製造条件の最適化をできるようになるまでは、多くの知識と経験が必要です。それらの習得にはとても長い期間を要します。
一方で巴川コーポレーションとしては、多品種において様々な少量の高付加価値品を素早く市場に提供したいので、開発のエンジニアを増やす必要があります。
しかし開発のエンジニアを増やそうとすると、どうしても育成に時間がかかってしまう。市場への提供を念頭において開発スピードと、人材育成にかかる時間が見合っていないというジレンマを抱えておりました。

そこで我々は、開発に関わるツールや最適化ができるツールをずっと探していました。過去には実験計画法などをはじめとした、さまざまなツールを試してみました。これらを多くの社員に使ってもらうべく、社内で推進活動を行ったのですが、データサイエンスと自社ドメイン知識を同時に活用することが難しく、なかなか開発の加速や効率化には結びつきませんでした。(阿部氏)

課題解決に向けた日立ハイテクからの提案

巴川コーポレーション様の課題解決に向けて、日立ハイテクからはデータ分析における考え方を深くご理解いただくために、フェーズを策定し提案しました。

具体的には、材料開発におけるドメイン知識を持つデータサイエンティストによる分析支援(コンサルティング)と、マテリアルズ・インフォマティクスのツールを組み合わせ、巴川コーポレーション内で活用できるように日立ハイテクが伴走することです。

導入効果

未経験者が2~3ヶ月で成果を出す

まず、製品設計の経験が少ないエンジニアに、MIツールを使ってもらって分析作業を始めました。
最初はいつも通りに実験を進めていたのですが、ある程度のデータ数が揃ってきた頃から、MIで的確な予測や重要な特徴量を示せるようになってきました。徐々にMIが示す指標が、ベテランの考え方に近づいてきたという結果を得られてきたのです。

プロフェッショナルな開発者がMI分析と同じ事をしたら、ひょっとすると、もっと早く正解にたどり着けるかもしれません。しかし人の成長という側面だと、スピードとは異なる見方になります。

開発というのは人を選ぶところがあって「誰でもやればできる」というものではありません。そもそも開発者は、適正がある人が最低でも2~3年は専門教育を受けています。
そういう知識や経験がある開発者と同等の考察を、経験のない人が2~3ヶ月で考察できるようになったのが、MIの大きな成果です。経験のない人が、ベテランと近しいことが言えるようになったところが、一番すごいなと思っています。(阿部氏)

【体験談】未経験分野の開発を初のMIで結果が出せた

自分自身が過去に経験がない新製品の開発に、MIを活用して行うことになりました。
新製品の分野には興味がありましたが、特にこの分野における専門的なトレーニングを受けた経験もなく、ドメイン知識と言われるような知見は何も無い状態でした。
また、MIという言葉は聞いたことがありますが、詳しくは知らなくて。ただ漠然と「データを集めないといけないな」と思っていました。

実際に開発を進める中で、データの整理やMIツールでの設定などの方法を、日立ハイテクのデータサイエンティストに教えていただきました。順を追って一つひとつ進めていくと、徐々に納得いくデータが「結果」として出てくるようになりました。この分野に詳しい先輩開発者が言う「正しさ」と、差異のない結果をMIでも出せるんだと実感しました。(杉浦氏)

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株式会社 巴川コーポレーション
iCasカンパニー開発本部
技術研究所 兼 粘接着開発グループ
杉浦 賢典 氏

分析支援のコンサルで得た気付きが自社の課題解決につながる

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実はコンサルティングがなかったら、気付けなかったことがあります。我々は当初マテリアルズ・インフォマティクスやAIに期待してはいなかった状態でした。データ結果を見ても、「人間がやったことの正当性を、ある程度、二次的に確認する程度のものかな」と思っていました。

分析を進めていくと、ある程度確からしさがあり、AIの推論結果がおかしいと思う結果を示さないことを、日立製作所のデータサイエンティストである高原さんからご指摘いただきました。「開発者の感覚値に近い、違和感のない結果が出るというのは、すごいことなんですよ」と教えていただき、気付きを得られました。

そこから「だとすると…今までできなかったベテランのノウハウをデジタル化するツールとして使えるんじゃないか」という、イメージが徐々に湧いてきました。

もしもコンサルなしでMIのソフトウェアしか使っていなかったら「巴川コーポレーションにとっての『良い』使い方」に気付けず、MIの効果を理解できなかったのではないかと思います。(阿部氏)

社内のMIについての知見が深まる

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例えば正規化について知りたい場合、よくありがちなのは「ソフトウェアの中に実装していますから、我々ちゃんとやっていますから」で話を終わらせられるんですが、日立ハイテクのデータサイエンティストはしっかりと向き合って教えてくれました。質問に対して例外事例もご紹介いただいて、その場合はどうすればよいかの相談に乗ってもらえるのもありがたい。
MIのソフトを提供しているベンダーにPythonや例外事項などは聞きにくいのですが、日立ハイテクは丁寧に教えてくれるところがいいですね。(阿部氏)

MIツールの使い方だけではなくて、アルゴリズムやデータの持ち方などを教えていただいています。まったくの初心者でしたがおかげさまで、徐々にMIに詳しくなっていけました。今回、ご担当いただいている日立ハイテクのデータサイエンティストである岡田さん以外の方も、しっかりしたサポートをやっていただけるんでしょうけど、安定感抜群で頼もしいと思っています。(杉浦氏)

日立ハイテクを選んだ決め手

決め手①:ドメイン知識を持つデータサイエンティストが課題理解をしてくれた

分析支援サービスでコンサルいただいた方は、日立製作所のデータサイエンティストである高原さんで、我々の製品に近しい開発経験をお持ちの方でした。我々が悩んでいた課題を理解し「このサービスを使えば解決できる」と具体的に提示いただいたのが、一つ大きな決め手にはなりました。(阿部氏)

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決め手②:ブラックボックスが少ない

日立ハイテクのMIツールは、中でどういうアルゴリズム使って予測モデルを作ってるかっていうのが比較的オープンになっていて、ブラックボックスの部分が少ないのがすごく魅力的です。
研究開発においてブラックボックスの部分が多いと、どうしても出てきた結果に納得しづらかったのですが、アルゴリズムの原理や分析上の処理を理解したうえで取り組めるのは、納得感があって非常に良いと思っています。(阿部氏)

決め手③:AWSを安心して使える

通常、自前でAWSのインスタンスを立ち上げて管理しようとすると、管理の手間が結構かかります。また立ち上げ当初に想定していた以上に、クラウドを使いすぎてしまうリスクがあるんです。そうなると予想していた以上の費用がかかってしまうなど、管理面や費用面を考えるとなかなか運用が難しいと感じています。
日立ハイテクだと定額でパッケージ化されているので「気付いたら上限を超えていた」ということもなく、安心して使えるのも一つの魅力だと思います。(阿部氏)

決め手④:サポートの対応力が強い

MIについても特に詳しいわけではなかったので、何度も電話でサポートいただきました。他社さんだと、そこまでサポートが手厚くなかったり丁寧でなかったりするので、結局使いこなせないことが多くありました。そのためサポート対応の有無は大きな決め手のひとつになります。

導入後は実際に、よく電話をして教えてもらっているんですけど、対応力の高さが本当にありがたいです。電話をしやすいってすごく大事ですね。他社さんだと途中で担当者が変わって、また一から説明するとかがありますが、それがなく、わからない部分を丁寧に教えてくれるのでMIを使えるようになりました。専門人材が厚いのも日立ハイテクのメリットだと思います。(杉浦氏)

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今後の展望

日立ハイテクへの要望としては、交流会等を開催して、人財育成の場、社内共有の場を提供していただけると助かります。日立ハイテクのMI基盤では、Pythonとの連携や、テキストマイニング機能、画像解析機能等と幅広い分析ができるため、テーブル分析以外でも活用しつつデータ駆動型の開発を社内に根付かせたいと思っています。

また、我々としては社内の様々なデータをどんどん学習させて、ものづくりにおけるDXを加速していきたいと考えています。組織全体のDXとしてデータベースの構築などもコンサル&実装もお任せできるので、MIを皮切りに組織のDX化も伴走していただきながら推進していきたいです。(阿部氏)

株式会社巴川コーポレーション様

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革新的な技術と優れた製品で知られるリーディングカンパニー。
主な事業分野は、トナー事業、半導体・ディスプレイ関連事業、機能性シート事業、セキュリティメディア事業、新規開発事業で、最先端の技術を駆使し、高品質な製品とサービスを提供中。
2024年1月1日に「株式会社巴川製紙所」から「株式会社巴川コーポレーション」に社名を変更し、「これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける」の実現をめざしています。
https://www.tomoegawa.co.jp/



記載内容は2024年9月24日時点の情報となります。

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