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日立ハイテク
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日立ハイテクサイエンスの森 (静岡)

日立ハイテクサイエンス・富士小山事業所(静岡県駿東郡)では、約44,000平方メートルにもおよぶ樹林を「日立ハイテクサイエンスの森」と名づけ、地域社会の一員として「自然との共生」をめざし、かつて人々との暮らしと共にあった里山として再生することを目標とし、2015年から継続的に活動を実施しています。

活動状況

主な取り組み

1.広大な緑地の維持・再生

全体の87%にも及ぶ緑地を、将来にわたって維持・再生していきます。

2.人工林の自然林化

地域在来の植物を活用し、約50年かけて、スギ・ヒノキの人工林を広葉樹林へと大規模に転換していきます。敷地内で採取したクヌギやコナラのどんぐりから育てた苗木にくわえ、高中木のエゴノキ、ヤマザクラ、ヤマボウシ、イロハモミジ、そして、低木のムラサキシキブといった多種類の樹木を混植することにより、本来の自然に近い状態にし、できるだけ早く自然林を再生することをめざしています。これにより、シジュウカラ(鳥類)、コミスジ(チョウ目)などの動物の生態環境も改善していきます。

画像: クヌギ、コナラのどんぐり) 画像: クヌギ、コナラのどんぐり
[写真] クヌギ、コナラのどんぐり

3.在来の野草が咲くススキ草地の再生

芝生地の一部をさまざまな在来の植物が広がる半自然のススキ草地へと転換するために、2016年からススキの株分けと植え付けを行ってきました。約5年かけて再生したススキ草地の面積は約1,400m2です。
2022年からはススキ草地の維持管理ともに、在来の昆虫類の観察などを行っていきます。

画像:  ススキ草地への転換
[写真] ススキ草地への転換

4.外来植物の駆除

セイタカアワダチソウ、ヒメジョオンなど外来植物の駆除に継続的に取り組んでいきます。

画像:「日立ハイテクサイエンスの森」がめざす姿(植生分布の変遷)
「日立ハイテクサイエンスの森」がめざす姿(植生分布の変遷)
画像:「日立ハイテクサイエンスの森」がめざす姿(生態系ピラミッド)出典:公益財団法人日本生態系協会
「日立ハイテクサイエンスの森」がめざす姿(生態系ピラミッド)出典:公益財団法人日本生態系協会

5.インセクトホテルの設置

2021年度から、在来の生き物、特に昆虫が住みやすい環境作りのために、昆虫の棲み処としてのインセクトホテルの製作・設置を実施しています。2023年度には、既設ホテル内に詰めた木の枝や竹などの観察とリニューアルを行いました。ホテルの枠組みは事業所製品の運搬に使用された廃材を使用し、組み込む材料は事業所敷地内にある森の中を散策収集し、まつぼっくり、木材や枯れ枝、竹、枯れ葉など自然の材料を活用しました。
今後は、昆虫の利用状況などの経過観察を実施し、生態系のバランスを整えていくことの大切さを感じ取り、より多様な生き物を育む自然環境の再生に貢献していきます。

インセクトホテル製作の様子
インセクトホテル製作の様子
設置されたインセクトホテル
設置されたインセクトホテル

生物多様性の第三者認証取得

日立ハイテクは、2020年12月、「日立ハイテクサイエンスの森」(約44,000平方メートル)において、公益財団法人日本生態系協会によるJHEP更新認証を受け、最高ランクのAAA(トリプルエー)評価を取得しました。

2015年に研究開発施設として日本で初めて認証を取得し、AA+(ダブルエープラス)評価を得ました。その後の生物多様性の保全・回復への取り組みが高く評価された結果、5年ごとに行われる更新認証でランクアップを果たしました。

「日立ハイテクサイエンスの森」を多くの種が共存する豊かな自然環境へと再生することを目標に、今後も地域や従業員とともに生物多様性の維持・保全に努めます。

JHEP認証

JHEP認証最高ランク(AAA)取得によせて

 この度はJHEP認証AAAという最高ランクの認証となりましたこと、本当におめでとうございます。

 自然再生の取組みにおいては、野草も樹木と同様に重要な遺伝子資源であると考えられています。本取組みの内容を拝見しましたが、スギ・ヒノキの単純な人工林から、生物多様性に配慮した在来の自然林へと転換するとともに、野草による草原の再生も行っているということで、その両方を再生していることに大変感銘を受けました。

 JHEPとは、アメリカで開発されたものを、日本向けにアレンジしたものです。これは生物多様性というものを「見える化」したものですが、そもそも、生物多様性を守るということは、我々の生存基盤である遺伝子資源を守るということです。

 日本の生物多様性の現状を見ると、実は大変な状況となっていて、たとえば北海道から沖縄まで野鳥が激減する事態となっています。野鳥は明治に入ってから大幅に減少し、その後も減少を続けています。野鳥が減少している理由のひとつとして、餌となる昆虫が減っていることが考えられています。昆虫がいなくなった原因としては、自然の喪失や農薬の使用、光の害が考えられています。このような要因を改善していかなくては、日本の生物多様性は守っていけなくなります。

 そういった中、日立ハイテクは、企業自らが自然を取り戻していくという事業に取り組んでいて、これは国内のモデルとなる取組みです。世界的にSDGsやESG投資が求められている中、国際的にも高く評価されるものと確信しています。

公益財団法人 日本生態系協会
会長 池谷 奉文

環境省自然共生サイト認定

「日立ハイテクサイエンスの森」が、環境省より、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」として令和5年度後期環境省自然共生サイトに認定されました。これまで従業員や地域社会が一体となって実施してきた生物多様性の維持・保全の幅広い取り組みが評価され認定となりました。これに伴い、「OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)」*1として国際データベースにも登録されています。

環境省は、生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2021年6月の第47回先進国首脳会議(G7 サミット)において合意された、2030年までに陸と海の30%以上を保全する目標「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」の達成に向けた取り組みとして、「30by30アライアンス」*2の発足や「自然共生サイト」の認定などを行っています。

日立ハイテクおよび日立ハイテクサイエンスは、「30by30アライアンス」に参加しており、今後も「日立ハイテクサイエンスの森」での生物多様性の維持・保全活動をはじめとして、日立ハイテクグループ全体で環境価値の創出と持続可能な地球環境への貢献をめざしていきます。

*1 OECM:2010年に名古屋で開催されたCOP10で提唱された保護地域以外で効果的な保全が行われている場所を認定する制度

*2 「30by30 アライアンス」:「30by30」の達成に向けた取り組みをオールジャパンで進めるための有志の企業・自治体・団体による連盟

認定証