液体クロマトグラフ(HPLC)基礎講座 第6回 分離モードとカラム(3)
溶離液の選択例
カラムが決まったら次は溶離液です。ODSカラムを用いて分析条件を決める場合、以下のような手順で実験を行います。
この場合も成分によってイオンになりやすいものと、イオン交換樹脂に結合している状態の方が安定しているものとがありますので、それによりカラム中を移動する速度が変わります。有機溶媒としてはメタノールまたはアセトニトリルを使用することが多く、有機溶媒100%を溶離液として流すと早く溶出します。
図1は溶離液としてメタノールを流した時のクロマトグラムです。
試料として5成分を混合していますがピークは4つしか検出されていません。2成分が分離できていない可能性があるので溶離液に水を混合し、メタノール90、水10の混合比で流した時のクロマトグラムが図2です。2番目のピークが少し分離しています。
更に水を増やしメタノール80、水20の混合比で流すと分析時間は長くなりますが、図3で示すように5成分を分離することができました。
このようにクロマトグラフィーは溶離液の選択で分離が大きく変ります。目的成分がどんな物質か?試料の中には他にどんな成分があるのか?など状況に合わせて溶離液を選択する必要があります。