光度計の話
光源から発せられた光は、恒温槽につけられたセルを透過した後、分光器に入ります。
日立の自動分析装置では、反応容器をそのまま測定セルに用いており、セルを透過した後、分光する後分光方式を採用しています。
分光器では、単色光を取り出すために回折格子を用いています。
この回折格子は凹面回折格子と呼ばれ、回折格子と凹面鏡との役目を兼ね備えており、従来複雑な光学系を必要とした分光器をシンプルにすることができました。
凹面回折格子を用いた分光器では、凹面の曲率半径を直径とするローランド円上に分光されたスペクトルを結像しますので、この位置に半導体検知器を複数個置くことで、希望する単波長を得ることができます。
日立自動分析装置では、340、405、450、480、505、546、570、600、660、700、750、800nm の12波長を、波長精度±2nm でご利用いただけます。
このような光度計は、多波長光度計と呼ばれています。
それぞれの検知器には低ノイズ増幅器が接続されており、各波長の電気信号を一定に合わせてあります。
また、各検知器に余計な光(迷光)が入り込まないよう工夫されており、高い吸光度まで直線性を得ることができます。
一般的に、光源から増幅器までを、光度計と呼んでいます。
分光器は密閉されており、日常メンテナンスの必要はありません。しかし、ランプの劣化やセルの汚れにより光度計の性能は著しく変化しますので、光源ランプおよびセルの交換、並びに恒温槽の清掃を定期的に実施していただくようお願いします(表1)。
表 1.保守点検の周期
メンテナンス項目 | 点検周期 |
---|---|
セルブランクの確認 | 1週間 |
反応セル交換 | 1ヵ月 |
反応槽清掃 | 1ヵ月 |
反応槽排水フィルター清掃 | 1ヵ月 |
光源ランプ交換 | 6ヵ月または750時間毎 |