薄膜中の鉛(Pb)の測定例
【無電解ニッケルめっきの測定例】
無電解ニッケルめっきは、実際、皮膜中に微量な鉛が含まれており、それら環境規制物質の濃度管理が求められるようになってきました。銅上の無電解ニッケルめっき5ミクロン中に含まれる鉛約350ppmを10回繰返し測定した結果、鉛濃度の相対標準偏差が3%以下となり、良好な結果が得られました。これはめっき皮膜のみを剥離してICP発光分光分析装置で測定した結果とも相関が得られています。
<測定条件>
測定法: | 薄膜FP法 |
---|---|
X線照射径: | φ8.0mm |
管電圧: | 50kV |
管電流: | 自動設定 |
試料室雰囲気: | 大気中 |
一次フィルタ: |
Pb用フィルタ |
<測定試料>
無電解ニッケルめっき5µm中の鉛
<ICPによる精密分析結果>
定量結果: Pb 363ppm
<SEA1200VXによる10回測定結果>
Ni-P(µm) | Pb(ppm) | |
---|---|---|
平均値 | 5.54 | 334 |
標準偏差 | 0.26 | 8.66 |
CV% | 4.68 | 2.59 |
【鉛フリーはんだめっきの測定例】
鉛フリーはんだめっきにも微量な鉛が含まれており、銅上の鉛フリーはんだめっき5ミクロン中に含まれる鉛を10回繰返し測定した結果、鉛濃度の相対標準偏差が3%以下となり、無電解ニッケルめっきと同様に良好な結果が得られました。こちらもICP発光分光分析装置で測定した結果との相関が得られています。 めっきのような薄膜試料では、めっき中の均一な部分のみの濃度を求められることになり、このような測定の場合、薄膜であることを前提に計算する薄膜FP法を使用することで、測定精度をより高めることが可能になります。
<測定条件>
測定法: | 薄膜FP法 |
---|---|
X線照射径: | φ8.0mm |
管電圧: | 40kV、50kV |
管電流: | 自動設定 |
試料室雰囲気: | 大気中 |
一次フィルタ: |
Pb用フィルタ、Cd用フィルタ |
<測定試料>
鉛フリーはんだめっき5µm中の鉛
<ICPによる精密分析結果>
定量結果: Pb 312ppm
<SEA1200VXによる10回測定結果>
Sn-Ag(µm) | Pb(ppm) | |
---|---|---|
平均値 | 5.5 | 348 |
標準偏差 | 0.02 | 8.95 |
CV% | 0.27 | 2.57 |