ナノ3D光干渉計測システムVS1800
表面形状計測の新たなスタンダード
材料の平たん化や薄膜化、微細構造化が急速に進み、従来、一般的であったAFM(走査型プローブ顕微鏡)や触針式粗さ計、レーザー顕微鏡などを上回る計測精度が求められています。光の干渉現象を利用する走査型白色干渉顕微鏡(測定原理説明)を、より使いやすく、手軽に導入できるようにしたナノ3D光干渉計測システムVS1800では、高精度かつ広範囲な表面形状計測を高速に行うことができます。また、従来の線粗さによる測定では、「測定箇所による結果のバラつき」と「走査方向に依存する結果のバラつき」が大きな課題となっています。VS1800は、その対応として定められた表面形状の評価方法である国際規格ISO25178を参照にしたパラメータ算出により、表面形状測定の新たなスタンダードとして注目を集めています。
ナノ3D光干渉計測システムVS1800は、同じく高さ分解能0.1 nm以下を実現する、原子間力顕微鏡のナノ3Dプローブ計測システムAFM5500Mに比べて面内方向における計測範囲の広さが大きな特徴です。それぞれの特徴を生かし、ニーズに合わせた最適な計測システムの選択が生産性の向上につながります。
特長
1.高分解能・広範囲
独自のアルゴリズムにより、垂直分解能0.01 nm(Phaseモード時)を実現。対物レンズの倍率に依存することなく、高い垂直分解能を実現するため、広い範囲(ワンショット最大6.4 mm×6.4 mm)でもナノオーダーの粗さ、段差の計測が可能です。
2.高い測定再現性
高さのスケールに干渉縞を用い、Z駆動機構からの影響を最小化することで、再現性0.1%以下(Phaseモード時)を実現します。
3.高速測定
サンプルを面で捉え、XY方向の走査がないことで測定を高速化し、非接触方式のため、サンプルにダメージを与えることなく測定可能です。
4.非破壊計測
従来はサンプルを切断し、断面を形成して行われた多層膜の層構造および層内部の異物計測を非破壊で行うことが可能です。透明な積層サンプルにおいて、レンズの高さ座標と各界面から得られた反射光を利用し、各光学界面において得られた干渉縞から仮想の断面画像を出力します。
5.簡単計測
直感的に使える操作画面を搭載し、処理後の画像をその場で確認できます。処理や解析内容のリスト化、独自解析レシピの作成、解析レシピの繰り返し使用などを簡単に行えます。また、大量データの一括処理が可能で、複数のサンプルや解析結果を一元管理し、手間のかかる後処理を軽減します。 また、表面形状の評価方法を定めた国際規格ISO25178には、非常に多くの項目が設定されており、サンプルごとの適切なパラメータを選択する必要があります。そこで、VS1800では、パラメータ選択を提案するツールを搭載し、管理精度の向上を支援します。
6.柔軟な導入
手動XYステージ仕様のベースモデルをType 1とし、駆動部の電動化を段階的に進めたType 2とType 3をご用意しています。各モデルのアップグレードは担当者による部品追加により行い、用途に合わせた手軽な導入が可能です。
アプリケーション事例
材料・コンバーティング業界で多く取り扱われる紙製品や樹脂製品は、求められる機能を満たすため様々な工夫がなされています。そのため、表面形状および表面粗さ計測は、品質管理上重要な役割を担っています。また、積層フィルムなどにおいて不具合が生じた際、表面・界面または層内のどの箇所に問題が発生しているか究明する必要があり、試料によっては非破壊での計測が求められることも多くあります。
ここでは、材料・コンバーティング業界におけるナノ3D光干渉計測システムVS1800による様々な測定事例をご紹介いたします。
積層フィルムでは、フィルムの表面や裏面さらには内部に、様々な不具合が起こりえます。不具合の原因解明には、異常発生時の状態を保つため非破壊での計測が必須となります。
ここでは、非破壊・非接触の計測で高さ分解能にすぐれた表面形状および膜厚測定が実現できるナノ3D光干渉計測システムVS1800によるフィルムの異常部の測定例についてご紹介いたします。
各種電子部品の微細化にともない、めっきはますます薄膜化しています。その品質管理においては、より正確・精密が分析手法が求められています。
走査型プローブ顕微鏡は、高いZ分解能を特徴とする一方で、観察範囲が狭く制限されます。また、一般的な光学観察装置では、より広い視野範囲の観察が行えますが、Z分解能は低下します。
ナノ3D光干渉計測システムVS1800は面内方向の広い観察視野と高さ方向の高い分解能を併せ持つことから、メッキ配線のように大きな段差パターンとその表面の粗さ計測の両方を簡便に行うことができます。
自動車の燃費向上や工作機械などの省エネルギー化にとって、重要な要素となっているのが部品の低摩擦、低摩耗、表面損傷の低減です。こういった各種部品への低摩耗ニーズの実現には、より正確・精密なトライボロジー評価が求められています。ナノ3D光干渉計測システムVS1800は、ワンショットで広いエリアにおけるナノメートルオーダーの粗さ計測が可能です。トライボロジー評価においては、3次元計測結果から負荷曲線解析を行うことにより摩耗量(面積および体積)を算出することができるため、定量的な評価が可能になります。
ここでは、金属の摺動試験に新油および劣化油を使用した結果をご紹介します。
新機能
仕様
機種 | Type 1 | Type 2 | Type 3 | |
---|---|---|---|---|
Z軸 | モーター駆動 | 標準搭載(最大測定Zレンジ~10 ㎜) | ||
PZT駆動 | 追加オプション(最大測定Zレンジ~150 μm) | |||
XYステージ | 駆動方式 | 手動 | 電動 | |
移動領域 | ±50 mm | ±75 mm | ||
ステージサイズ | W205 × D150 mm | W225 × D225 mm | ||
ゴニオステージ | 駆動方式 | 手動 | 電動 | |
移動領域 | ±2° | ±5° | ||
測定用カメラ | 標準カメラ または 高画素カメラ | |||
鏡筒 | ×1 または ×0.5 | |||
ズームレンズ | ×0.7レンズ(追加オプション) | |||
対物レンズ | ×2.5 ×5 ×10 ×20 ×50 ×110 | |||
サンプル高さ | 標準 | 0~50 mm | ||
追加オプション かさ上げキット使用時 |
50~100 mm | 0~100 mm | ||
除振台(架台付き) | パッシブ型 または アクティブ型 |
標準搭載 | 追加オプション | |
---|---|---|
計測ソフトウェア | 表面形状測定 | 高傾斜測定 |
解析ソフトウェア | ISOパラメータ(ISO25178を参照) うねり解析、バンド分解 負荷曲線解析、粒子解析 フーリエ変換、線分解析 |
層断面解析、層面解析 断面積、ライン計測 |
機能紹介動画
ハイスループットを実現するVS1800 ~実際の測定から解析まで~
非破壊でできる層断面解析
高分解能で広域計測
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