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構造細胞生物学のための電子顕微鏡技術

4. 凍結置換法(freeze substitution)(2)

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(2) 培養細胞の凍結置換

急速凍結の効率とその後の処理を容易にするために、直径3mm、厚さ0.05mmのサファイアガラスディスクにカーボン蒸着して培養に用いている。
サファイアガラスはアルミ化合物の焼結で熱伝導が大変良く、かつ硬いので急速凍結には大変都合が良い。また、温度変化による収縮も大きい。このため樹脂包埋し、トリミングしてガラスを露出させ、表面を液体窒素に瞬間的に浸けることにより、あとはピンセットで端を突くだけでガラスをカーボン膜から容易に剥がすことが出来る。
細胞はカーボン膜の上に存在するので樹脂側に残っている。黒いカーボン膜に接触して細胞が存在することは細胞の基質への接着点の目印であり、細胞のフォーカルコンタクトを正確に観察できる。

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プロトコール:

  1. サファイアガラスディスクの表面にカーボンを100~200nmの厚さになるように真空蒸着する(膜厚は重要ではない)。
  2. 蒸着面に非対称性の数字、例えば2または5などをピンセットの先端で書き、膜面側を明瞭にする(カーボン膜の上に細胞を培養するため)。
    カーボン膜は疎水性なので、そのままでは細胞が付着しにくい。そこでプラズマ(スパッタ装置)で親水化処理をする。この装置がない場合は70%アルコールに1時間ほど浸け、さらに培養液中で一晩置いてから使用すると細胞が定着しやすい。
    カーボン蒸着後かなり時間が経過したディスクは必ず親水化処理をするか70%アルコールで洗浄後、クリーンベンチで紫外線を照射しながら乾燥して使用する。
  3. カーボン膜面を上にして培養用のシャーレに入れ、上から細胞を蒔き、培養する。細胞種によりコラーゲンやポリリジンコートが必要ならばカーボン膜面上に塗布する。
  4. 培養後はディスクを凍結用試料台に載せ急速凍結する。
    前述の凍結置換法に従い処理し樹脂包埋までおこなう。ガラス面を下、カーボン蒸着面(細胞が接着している面)を上にして包埋し硬化させる。糸鋸で切り出し、今度はガラス面が上に来るようにひっくり返して台に接着剤で貼り付ける。(図2)
  5. ガラスの大きさまでトリミングし、またガラス面に載っている僅かの樹脂をカミソリで落として、完全にガラスを露出させる。
  6. ガラスを含む試料先端を1秒ほど液体窒素に浸ける。
  7. 尖ったピンセットまたは針でガラスの下を突くとカーボン膜とガラスの間できれいに剥がれる。樹脂側に残ったカーボン膜の表面は全く平坦であるので、表面はいじらず側面をトリミングし、サイズを小さくする。
    カーボン膜の樹脂側はすぐに細胞であるので、いきなりダイヤモンドナイフで超薄切片を切る。したがって、ミクロトームでの面合わせは慎重に行う。
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