構造細胞生物学のための電子顕微鏡技術
6. 細胞膜剥離法(unroofing)(2)
* 当サイトに掲載している文章・画像などの無断転載を禁じます。
(2) 接着による細胞膜剥離
準備するもの:
- Alcian Blue塗布カバーグラス(2.5mm×2.5mm)
- 溶液
- KHMgE緩衝液
- HEPES ベースの哺乳類リンゲル液(+Ca)
アルシアンブルー塗布カバーガラスの作り方
- シャーレに濾紙を敷き、その上に2.5mm×2.5mmのカバーガラスを必要な分だけ置く(普通15~20枚)。
- カバーガラスをプラズマコーターでイオンクリーニングし親水化する。親水化はAlcian Blue水溶液を載せやすくするために行うので、必須ではない。
-
1% Alcian Blue水溶液カバーガラスの上に載せ、約1分間処理する。
(なお、接着性を高めるには高分子量(70,000以上)のPoly-L-lysineなども使用できるが、Alcian Blueの形状が小さいので使用している。) - 蒸留水でAlcian Blueを洗い流し、乾燥させてから使用する。ガラス表面がほんの僅か青みがかる程度が良い。接着性は時間と共に劣化するので2日間以内に使用する。
膜剥離のプロトコール
- シャーレで細胞を培養する(底面の8~9割を占めるぐらいまで増殖させる)。
- 培養液を除き、37℃まで暖めたHEPES ベースの哺乳類リンゲル液(+Ca)で一回洗浄する。
- リンゲル液を捨て、あらかじめアルシアンブルー溶液で接着性を高めたカバーガラスを細胞の上に載せる。
-
10~20秒後、固定をしないのであれば、ピンセットでカバーガラスの端を掴み引き上げるか、KHMgE緩衝液を端から注ぎカバーガラスを浮かせることで、背側の膜を採取することが出来る(図5を参照)。
直ぐに急速凍結できない場合、あるいは免疫標識を行う場合は0.1~0.5% glutaraldehyde 、2% paraformaldehydeを含むKHMgE緩衝液を端から注ぐ。カバーガラスはapical側の膜を接着したまま浮き上がる。固定液は接着効果を強くするので収量がよくなる。
* 当サイトに掲載している文章・画像などの無断転載を禁じます。