構造細胞生物学のための電子顕微鏡技術
構造生物細胞学によく用いられる溶液
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1. 緩衝液やリンゲル液を作るためのstock solution
1M CaCl2
100mLビーカーに11.1gのCaCl2を入れ、純水約80mLを加えスターラーで撹拌する。完全に溶解したら溶液を100mLメスシリンダーに移し、純水を加え全体で100mLとする。
1M MgCl2
100mLビーカーに20.3gのMgCl2・6H2Oをとり、純水約70mLを加えスターラーで撹拌する。完全に溶解したら溶液を100mLメスシリンダーに移し、純水を加え全体で100mLとする。
0.1M EGTA
200mLビーカーに9.4gのEGTA(Ethylene glycol-bis(β-amino ethylether)-N,N,N',N'-tetraacetic acid tetrasodium)をとり、純水約180mLを加えスターラーで撹拌する。完全に溶解したら溶液を200mLメスシリンダーに移し、純水を加え全体で200mLとする。
2N NaOH
100mLビーカーに8.0gのNaOHをとり、純水約70mLを加えスターラーで撹拌する。完全に溶解したら溶液を100mLメスシリンダーに移し、純水を加え全体で100mLとする。
1N NaOH
100mLビーカーに4.0gのNaOHをとり、純水約70mLを加えスターラーで撹拌する。完全に溶解したら溶液を100mLメスシリンダーに移し、純水を加え全体で100mLとする。
2N KOH
100mLビーカーに11.2gのKOHをとり、純水約70mLを加えスターラーで撹拌する。完全に溶解したら溶液を100mLメスシリンダーに移し、純水を加え全体で100mLとする。
2. HEPES based Mammalian Ringer's solution (+Ca):培養細胞の洗浄
組成
155mM NaCl、3mM KCl、3mM EGTA、5mM MgCl2、3mM NaH2PO4、10mM glucose、5mM HEPES(pH 7.4)
作り方(1L)
- NaCl:9.06g
- KCl:0.22g
- NaH2PO4:0.36g
- HEPES:1.20g
- Glucose:1.80g
- これらを1Lのビーカーに入れ、純水800mLを注ぎよく撹拌する
- 完全に溶けたら、1M MgCl2溶液を1mL加える
- 1M CaCl2 水溶液を2 mL入れる
- 撹拌しながら1N NaOHをパスツールピペットで少しずつ数mL注ぎpHを7.2~7.4に合わせる(一度に入れないこと、撹拌しながら少しずつ滴下する)
- 溶液を1Lのメスシリンダーに移し、純水を加え全体量を1Lとする
3. HEPES based Mammalian Ringer's solution (-Ca)
Poly-lysine溶液の作製や実験上生理的条件下でかつCaを除去したいときに用いる。
組成
155mM NaCl、3mM KCl、3mM EGTA、5mM MgCl2、3mM NaH2PO4、10mM glucose、5mM HEPES(pH 7.4)
作り方(1L)
- NaCl:9.06g
- KCl:0.22g
- NaH2PO4:0.36g
- HEPES:1.20g
- Glucose:1.80g
- これらを1Lのビーカーに入れ、純水800mLを注ぎよく撹拌する
- 完全に溶けたら、1M MgCl2溶液を5mL加える
- さらに撹拌しながら0.1M EGTAを30mL徐々に入れる
- 濁りがないことを確認後、2N NaOHをパスツールピペットで少しずつ、数mL注ぎpHを7.2~7.4に合わせる
- 溶液を1Lのメスシリンダーに移し、純水を加え全体量を1Lとする
4. NaHCa buffer (outside buffer)
細胞の固定、免疫細胞化学などに用いる。
1倍濃度の場合
組成
30mM HEPES、100mM NaCl、2mM CaCl2(pH7.4)
作り方(1L)
- HEPES:7.15g
- NaCl:5.82g
- これらを1Lのビーカーに入れ、純水800mLを注ぎよく撹拌する
- 完全に溶けたら、1M CaCl2を2mL加える
-
2N NaOHをパスツールピペットで少しずつ、数mL注ぎpHを7.4に合わせる
(一度に入れないこと、撹拌しながら、少しずつ滴下する) - 溶液を1Lのメスシリンダーに移し、純水を加え全体量を1Lとする
2倍濃度の場合
組成
60mM HEPES、200 mM NaCl、4mM CaCl2(pH7.4)
作り方(1L)
- HEPES:14.3g
- NaCl:NaCl:11.7g
- これらを1Lのビーカーに入れ、純水800mLを注ぎよく撹拌する
- 完全に溶けたら、1M CaCl2を4mL加える
-
2N NaOHをパスツールピペットで少しずつ、数mL注ぎpHを7.4に合わせる
(一度に入れないこと、撹拌しながら、少しずつ滴下する) - 溶液を1Lのメスシリンダーに移し、純水を加え全体量を1Lとする
5. KHMgE buffer (inside buffer)
UnroofingやPermeabilizedした細胞の内部構造の保存。
1倍濃度の場合
組成
30mM HEPES、70mM KCl、5mM MgCl2、3mM EGTA(pH7.4)
作り方(1L)
- HEPES:7.15g
- KCl:5.22g
- これらを1Lのビーカーに入れ、純水800mLを注ぎよく撹拌する
- 完全に溶けたら、1M MgCl2を5mL加える
- さらに撹拌しながら0.1M EGTAを30mL徐々に入れる
- 濁りがないことを確認後、2N KOHをパスツールピペットで少しずつ、数mL注ぎpHを7.2~7.4に合わせる
- 溶液を1Lのメスシリンダーに移し、純水を加え全体量を1Lとする
2倍濃度の場合
組成
60mM HEPES、140mM KCl、10mM MgCl2、6mM EGTA(pH7.4)
作り方(1L)
- HEPES:14.3g
- KCl:10.4g
- これらを1Lのビーカーに入れ、純水800mLを注ぎよく撹拌する
- 完全に溶けたら、1M MgCl2を10mL加える
- さらに撹拌しながら0.1M EGTAを60mL徐々に入れる
- 濁りがないことを確認後、2N KOHをパスツールピペットで少しずつ、数mL注ぎpHを7.2~7.4に合わせる
- 溶液を1Lのメスシリンダーに移し、純水を加え全体量を1Lとする
6. Alucian Blue 溶液
細胞膜の接着採取に使用。
組成
1% Alucian blue in DW(weight %)
作り方(25mL)
アルシアンブルー0.25g を栓付き瓶にとり、24.75mLの純水を入れ、撹拌し、溶解する。
7. Poly-L-lysine 液
unroofingに先立ち、細胞をカバーガラスに固着させるために使用。
組成
Poly-L-lysine(middle chain、70 KD)0.5mg/mL in Ca free Mammalian Ringer's solution
作り方
購入したPoly-L-lysineは濃度が10mg/mLになるように一度にCa free Mammalian Ringer's solution に溶解し、エッペンチューブに1mLずつに分けて、-20℃で保存する。使用時にこれを室温に戻し、Ca free Mammalian Ringer's solution にて20倍に希釈し、ミリポアフィルター(MILLEX-HV: ポア径0.45mm)で濾過して使用液とする。
8. Quenching solution
フリーのグルタールアルデヒド基を塞ぐため。
組成
50mM Lysine、50mM Glycine、50mM NH4Cl in KHMgE buffer
作り方(250mL)
- Lysine:2.23g
- Glycine:0.94g
- NH4Cl:0.67g
- これらを500mLビーカーに入れる
- 一倍濃度のKHMgE bufferを200mL入れ、完全に溶解する
- その後500mLのメスシリンダーに溶液を移し、さらにKHMgE bufferを足して全体量を250mLとする
9. Blocking solution
免疫フリーズエッチングレプリカにおいて一次抗体の非特異的結合を軽減する。
組成
1% BSA in KHMgE buffer
作り方(200mL)
- BSA(Fraction V)を冷蔵から取り出し、室温にもどす
- 2g計量し、200mLビーカーにとる
- KHMgE bufferを150mL加え、スターラーで撹拌する
- 完全に溶解したら、メスシリンダーに移し、KHMgE bufferを足し、全体で200mLとする
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