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HPLC Chromaster(クロムマスター)-フェノキシエタノールおよびパラベン類の同時分析-

パラベン類とは、パラオキシ安息香酸エステル(ρ-hydroxybenzoate ester)類の総称で、人体に対する毒性が低く、防腐、防かびの効果を有することから、医薬品や化粧品、食品の保存剤として使用されています。
日本薬局方(十六改正)には、ρ-ヒドロキシ安息香酸メチル、ρ-ヒドロキシ安息香酸エチル、ρ-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ρ-ヒドロキシ安息香酸ブチルの4種が収載されています。また化粧品では緑茶中などに天然物として存在するフェノキシエタノールも、殺菌防腐剤として使用されています。
パラベン類と併用することで添加量を減らすことができるため、化粧品では併用するケースが多くあります。パラベン類およびフェノキシエタノールの化粧品への使用制限量は、化粧品基準(厚労省告示)に定められており、化粧品100 gにそれぞれ1 gまでと規定されています。
今回、フェノキシエタノールとパラベン類の一斉同時分析を検討したのでご紹介します。

フェノキシエタノールおよびパラベン類の同時分析

標準試料:

  1. 2-フェノキシエタノール
  2. ρ-ヒドロキシ安息香酸メチル
  3. ρ-ヒドロキシ安息香酸エチル
  4. ρ-ヒドロキシ安息香酸イソプロピル
  5. ρ-ヒドロキシ安息香酸プロピル
  6. ρ-ヒドロキシ安息香酸イソブチル
  7. ρ-ヒドロキシ安息香酸ブチル

各10 mg/L(メタノールで調製)

分析条件:

カラム HITACHI LaChrom C18 (5 µm) (4.6 mmI.D. x 150 mm)
溶離液 CH3CN/0.1% H3PO4*(v/v) = 35/65 (v/v)
(*H3PO4は、特級(85.0%)を使用)
流量 1.0 mL/min
カラム温度 40°C
検出 DAD 220, 254 nm
注入量 10 µL

装置構成:

Empower2 データ処理システム

標準試料測定例:

-
等高線表示と抽出クロマトグラム
-
各標準試料の吸収スペクトル
  

ダイオードアレイ検出器の測定結果より、2-フェノキシエタノールは220 nm、パラベン類は254 nmが最適な検出波長であることがわかります。
そこで以下の試料についてはダイオードアレイ検出器で測定し、これらの最適波長のクロマトグラムを抽出しました。

直線性:
いずれの標準試料も、0.1 ~50mg/Lの濃度範囲で、r2= 0.999以上と良好な直線性が得られました。

実試料測定例(1):市販化粧水

-
最適波長で抽出したクロマトグラム
-
検出された各ピークと標準試料 のスペクトル

試料の前処理法:
0.1 gをメタノールで10mLに定容後、0.2 µm のフィルターでろ過

  

結果:
本試料からは、(1)2-フェノキシエタノール、(2)p-ヒドロキシ安息香酸メチル、(3)p-ヒドロキシ安息香酸エチルが検出されました。 また各ピークは標準試料のスペクトルと比較し、高い一致度が得られました。
化粧品には殺菌防腐剤として、フェノキシエタノールとパラベン類が併用されていることがわかります。

実試料測定例(2):市販ハンドクリーム

-
最適波長で抽出したクロマトグラム
-
検出された各ピークと標準試料 のスペクトル

試料の前処理法:
0.1 gをメタノールで10mLに定容後、0.2 µmのフィルターでろ過

  

結果:
本試料からは、(1)2-フェノキシエタノール、(2)p-ヒドロキシ安息香酸メチル、(3)p-ヒドロキシ安息香酸エチル、(5)p-ヒドロキシ安息香酸プロピルが検出されました。
ハンドクリーム中にも殺菌防腐剤としてフェノキシエタノールとパラベン類が併用されていることがわかります。

参考:大阪府公衆衛生研究所報 第47号 平成21年(2009年)

注意:本掲載データは測定例を示すもので、数値を保証するものではありません。
本製品は研究用です。診断用ではありません。

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