HPLC Chromaster(クロムマスター)-レスベラトロールの分析-
レスベラトロールは、ポリフェノールの一種で、天然の抗酸化物質として注目されています。ポリフェノールは、いずれも抗酸化作用があるとして注目されている成分ですが、なかでもレスベラトロールは、近年その生物学的活性が明らかになり、人の健康、老化(アンチエイジング)に有用との報告が多いことから、特に注目されています。
レスベラトロールは植物中の本来の成分ではなく、ファイトアレキシンと呼ばれる植物性抗菌性物質のひとつです。これは、植物がカビの感染を受けたり、傷ついたりした時にそれを防ぐために生産される物質です。ブドウの果皮や落花生の種皮に含まれ、強力な抗酸化力をもち、ガンや生活習慣病の予防に効果があるとして、米国でも注目されています。
以下にレスベラトロールの分析例についてご紹介します。
レスベラトロールの分析
試料:レスベラトロール
標準溶液:濃度 0.05~50 mg/Lになるようにメタノールで調整
分析条件:
カラム | HITACHI LaChrom C18(5 µm)(4.6 mmI.D.×150 mm) |
溶離液 | (A)0.1% H3PO4(pH2.2) (B)CH3CN *Gradient: (0 min)B10%→(10 min)B10%→(30 min)B70%→(40 min)B70%→(40.1 min)B10%→(55 min)B10% |
流量 | 1.0 mL/min |
カラム温度 | 40 ℃ |
検出 | DAD 303 nm |
注入量 | 10 µL |
装置構成:
Empower2 データ処理システム
標準試料測定結果:
直線性:
[検量線]
検量線は0.05~50 mg/L濃度範囲で良好な直線性を示しました。
紫外線照射後のtrans-レスベラトロール標準試料
[cis-レスベラトロールの確認]
レスベラトロールにはtrans型、cis型の二つの異性体が存在します。trans-レスベラトロールは紫外線や熱によりcis-レスベラトロールに変換されます。
ここでは50 mg/L trans-レスベラトロール10 mLをサンプル瓶に入れ、1時間殺菌用紫外線ランプを照射しました。照射により生成したcis-レスベラトロールの溶出位置とスペクトルを確認しました。
試料分析例:市販赤ワイン
[試料の前処理法]
(参考)
新・食品分析法[II] (社)日本食品科学工学会 食品分析研究会
発行 平成18年11月15日 発行所 株式会社光琳
[市販赤ワイン]
固相抽出処理有無の比較
- 試料:市販赤ワイン
- 試料:市販白ワイン
[固相抽出処理]
上記のフローにしたがって処理
[固相抽出未処理]
上記フローでpH7.0調整後、0.45 µmフィルターでろ過
ワインを固相抽出した試料と未処理の試料を測定し、クロマトグラムを比較しました。
ワイン中には、さまざまな成分が含まれているため、特に赤ワインの未処理試料ではレスベラトロールのピークが判別できません。
固相抽出による前処理が有効であることがわかります。
赤ワイン、白ワインともに標準添加による回収率は、94.0 %でした。
各ワイン中のレスベラトロール濃度は、赤ワイン:1.1 mg/L、白ワイン:0.24 mg/L となりました。
レスベラトロールはブドウの果皮に多く含まれています。皮ごと醸造する赤ワインの方が高濃度であることが確認できました。
注意:本掲載データは測定例を示すもので、数値を保証するものではありません。
本製品は研究用です。診断用ではありません。