HPLC Chromaster(クロムマスター)
-水溶性ビタミン類の一斉分析-
ビタミンは必須の栄養素であり、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに区分されます。今回は水溶性ビタミン9成分を逆相カラムで一斉分析し、DADで検出しました。DADを用いることで、検出されたピークは吸収スペクトルによる同定を行うことが可能となるため、食品のような夾雑成分の多い試料には特に有効です。
ビタミンCとエリソルビン酸は不安定なため、試料調製時および時間経過により分解されやすく、直線性、再現性が得られにくいので注意が必要です。そのため、本分析条件は、定性を目的としてご使用ください。定量用途の場合は、各ビタミンの個別試験法での分析をお勧めします。
水溶性ビタミン類の一斉分析
標準試料:濃度と構造式
成分名 |
ビタミンB1(チアミン)* |
ビタミンB6(ピリドキシン)* |
ニコチンアミド |
ビタミンB12(シアノコバラミン) |
アスコルビン酸グルコシド |
ビタミンC(アスコルビン酸) |
エリソルビン酸 |
ビタミンB2(リボフラビン) |
ニコチン酸 |
(*) は塩酸塩を使用
- 濃度各50 mg/L
- 標準原液/標準溶液は、溶離液で希釈
分析条件:
カラム |
HITACHI LaChrom C18-PM(5 µm)(4.6 mmI.D.×250 mm) |
溶離液 |
リン酸緩衝液(pH5.2)/CH3CN = 90/10(v/v) |
流量 |
0.8 mL/min |
カラム温度 |
40℃ |
検出 |
DAD 260 nm |
注入量 |
10 µL |
本分析は溶離液にイオンペア試薬(テトラブチルアンモニウム)を使用しています。イオンペア試薬はカラムから完全に除くことが困難なため、お使いになるカラムは水溶性ビタミン専用とすることをお勧めします。
Empower2 データ処理システム
標準試料測定例:
直線性:
検量線の範囲は、各成分とも0.1~50 mg/L、r2= 0.995以上の良好な直線性が得られました。
しかし、ビタミンC、エリソルビン酸、ビタミンB12については 直線性が得られにくいので注意が必要です。
試料分析例(1):栄養剤
[栄養剤の前処理法]
試料2 mgをはかりとり、溶離液で10 mLに定容し、0.45 µmフィルタでろ過
試料分析例(2):ドリンク剤
[ドリンク剤の前処理法]
溶離液で10倍に希釈し、0.45 µmフィルタでろ過
栄養剤とドリンク剤ともに10.7分に検出されたピークは、保持時間の近いエリソルビン酸と同定することに迷いますが、スペクトルを確認すると全く別な物質であることが分かりました。 このように、夾雑物の多い食品などの試料ではスペクトル情報が得られるDADが有効です。
注意:本掲載データは測定例を示すもので、数値を保証するものではありません。
本製品は研究用です。診断用ではありません。