HPLC Chromaster(クロムマスター)
-有機酸分析の紹介(Chromaster BTBポストカラム法)-
食品に含まれる有機酸は、味や風味に大きな影響を与え、発酵過程における品質管理にも役立っています。また有機酸は食品以外にも測定対象となる試料が多く、医薬品、培養液、メッキ液、化粧品など多岐にわたります。
今回は、日立有機酸分析システム(BTB*ポストカラム法)を紹介いたします。pH指示薬であるBTBは、酸性成分の溶出により吸収スペクトルが変化します。その変化を440 nmで検出するため、夾雑成分の影響を受けにくい選択性の高い手法です。分離には、陽イオン交換樹脂を用いたイオン排除モードを用います。ODSなどに比べ多成分の有機酸を一斉に分離できることが特長です。
なお、有機酸とは弱酸性の有機化合物の総称ですが、カルボキシル基(-COOH)を1つ以上持つものを指すことが多く、カルボン酸とも言います。ここでは主にC1~C6のカルボン酸を対象としています。
* BTB:ブロモチモールブルー(Bromothymol Blue)
有機酸分析システム(BTBポストカラム法)
有機酸標準試料測定例(BTBポストカラム法)
カラム | GL-C610H-S 7.8 mm I.D.×300 mm |
ガード カラム |
GL-G-C600 4.0 mm I.D.×10 mm |
溶離液 | 3 mmol/L HClO4 (過塩素酸) |
流量 | 0.5 mL/min |
カラム 温度 |
60℃ |
反応液 | BTB溶液 |
反応液流量 | 0.6 mL/min |
検出波長 | VIS 440 nm |
注入量 | 10 µL |
標準試料名:
No. | 成分名 | No. | 成分名 | ||
1 | クエン酸 | Citric acid | 8 | ピログルタミ酸 | Pyroglutamic acid |
2 | 酒石酸 | Tartaric acid | 9 | プロピオン酸 | Propionic acid |
3 | リンゴ酸 | Malic acid | 10 | イソ酸 | Isobutyric acid |
4 | コハク酸 | Succinic acid | 11 | n-酪酸 | n-Butyric acid |
5 | 乳酸 | Lactic acid | 12 | イソ吉草酸 | Isovaleric acid |
6 | ギ酸 | Formic acid | 13 | n-吉草酸 | n-Valeric acid |
7 | 酢酸 | Acetic acid |
検量線(各50 ~10,000 mg/L)
13成分の検量線は、50 ~10,000 mg/L の範囲で寄与率0.9997 ~0.9998と、良好な直線性を示しました。
ジュース中の有機酸測定例(BTBポストカラム法)
試料の前処理
ジュースに含まれる有機酸の測定例を示します。ピログルタミン酸までの有機酸を測定しました。標準試料8成分を用い、約25分で測定をおこなうことができました。有機酸を選択的に検出できるため、微量の有機酸も妨害なく測定することができます。
注意:本掲載データは測定例を示すもので、数値を保証するものではありません。
本製品は研究用です。診断用ではありません。