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HPLC Chromaster(クロムマスター)
-作業環境測定における1,1-ジメチルヒドラジンの測定例-

合成繊維や合成樹脂の安定剤などに用いられる1,1-ジメチルヒドラジンは、近年、発がん性や吸入毒性などの危険性が指摘されています。
厚生労働省は「労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令」を公布1、これにより1,1-ジメチルヒドラジンが特定化学物質としての規制の対象になりました。平成23年4月1日より容器・包装への表示や健康診断の実施など、必要な措置が講じられています。また作業環境測定は、平成24年4月1日より実施されています。
今回は、作業環境測定の実施方法が定められている「作業環境測定ガイドブック32」に準拠して、1,1-ジメチルヒドラジンの測定を行いました。日立高速液体クロマトグラフChromaster5430DADを用いることで、ピークの保持時間に加えDADの吸収スペクトルによる確認を行うことが可能です。また管理濃度0.01 ppmの1/10を測定できることがわかりました。

*1 平成23年政令第4号、平成23年1月14日公布

*2 社団法人日本作業環境測定協会発行(H24年5月28日第4版)

1,1-ジメチルヒドラジンについて
用途:

合成繊維、合成樹脂の安定剤、医薬品・農薬の原料、ミサイル推進薬、界面活性剤など
経緯:
厚生労働省より特定化学物質(第2類物質)として新たに追加(平成23年1月14日政令公布、平成23年3月29日通知)特定化学物質障害予防規則(特化則)に基づき、この物質を製造または取り扱う事業場では、「固体捕集方法-HPLC」による作業環境測定の実施が義務付けられた。(平成24年4月1日より実施)
作業環境測定:
特化則第36条により、6ヶ月に1度測定を実施。管理濃度は1,1-ジメチルヒドラジン0.01 ppm。30年間の測定記録を保存。

1,1-ジメチルヒドラジン構造式

1,1-ジメチルヒドラジン標準試料の測定例

誘導体化1,1-ジメチルヒドラジンの測定例と誘導体化1,1-ジメチルヒドラジンピークのスペクトル

測定条件:

誘導体化法:

カラム Mightysil RP-18 GP(3 µm)
2.0 mm I.D.×150 mm
溶離液 アセトニトリル/純水=20/80(v/v)
流量 0.1 mL/min
カラム温度 40°
検出波長 DAD200~400 nm(抽出波長300 nm)
注入量 10 µL
誘導体化法のフロー

* セミミクロフローセル使用

* 標準試料は1.5 µL/mL硫酸溶液で希釈し調製

直線性

直線性を示す

0.08~3.2 µg/mLの範囲で、寄与率0.9993と良好な直線性を示しました。検出下限値は0.0012 µg/mL、定量下限値は0.0039 µg/mLとなりました。
この結果を元に、P2に示す捕集方法で試料を捕集した場合の「気中濃度定量下限値」を求めると、0.0008 ppmとなり、管理濃度(0.01 ppm)の1/10を十分に満たす結果が得られました。

気中濃度計算式(作業環境測定ガイドブックより)

固体捕集法による標準添加試料の測定例

固体捕集法による1,1-ジメチルヒドラジン添加試料の測定例

標準添加試料の作製方法:

標準添加試料の作製方法のフロー

固体捕集法による標準添加試料の再現性と回収率(n=3)

上記の手順に従って、標準添加試料の作製とHPLC測定を、3回繰り返しおこないました。
  1,1-ジメチルヒドラジン
添加量(µg)
1,1-ジメチルヒドラジン
定量平均値(µg)
変動係数
(%)
回収率平均値
(%)
分析1
(n=3)
0.80 0.77 0.38 96.0
分析2
(n=3)
16.0 17.4 0.63 108.5
  

固体捕集法による標準添加試料の測定において、再現性および回収率とも、良好な結果を得ることができました。実試料への応用が十分可能であることがわかります。

本掲載データは測定例を示すもので、数値を保証するものではありません。
本製品は研究用です。診断用ではありません。

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