HPLC Chromaster(クロムマスター)
-食品中のコチニール色素(カルミン酸)の測定例-
コチニール色素はキノン系色素であるカルミン酸を主成分とする赤色の着色料で、エンジムシ(中南米原産の昆虫)から得られます。また食品衛生法で定められた既存添加物リストに収載され*1、食品や医薬品、医薬部外品、化粧品などに広く利用されています。
コチニール色素の試験法としては、衛生試験法にTLCが記載されていますが、参考法としてHPLCを用いた測定例も紹介されています*2。今回はこの測定条件に準じて、HPLC-DADを用い食品中のカルミン酸を測定しました。カルミン酸の定性にはピークの保持時間に加え、DADの吸収スペクトルによる確認も合わせて行いました。
*1 既存添加物名簿収載品目リスト、厚生省生活衛生局通知衛化第56号(平成8年5月23日)
*2 衛生試験法・注解2010(日本薬学会編)
カルミン酸標準試料測定例
カラム | HITACHI LaChrom C18 (5 µm) 4.6 mm I.D.×150 mm |
溶離液 | 0.1 mol/Lくえん酸緩衝液 (pH 3.6)/メタノール=75/25 |
流量 | 1.0 mL/min |
カラム温度 | 40℃ |
検出波長 | DAD 220~700 nm (280 nm、495 nm)* |
注入量 | 20 µL |
*衛生試験法では495 nmでの測定例が示されています。
直線性
再現性(10 mg/L、n=6)
保持時間(%RSD) | 面積値(%RSD) | |
280 nm | 0.05 | 0.19 |
495 nm | 0.13 |
カルミン酸標準試料において、直線性、再現性とも良好な結果が得られました。
食品中のカルミン酸の測定例
ゼリーの前処理法:
清涼飲料水の前処理法:
DADを使用することで、標準試料と食品試料で検出されたピークの吸収スペクトルの比較が可能です。ゼリーではスペクトルが一致していますが、清涼飲料水ではその形状が異なる事がわかりました。
これにより清涼飲料水で検出されたピークは、カルミン酸に他の成分が重なっていると考えられます。さらに純度チェック機能を使用しこのピークの純度を求めると、純度が低いことが確認できました。
このようにDADを用いることで、定性能力の強化が可能です。
注意:本掲載データは測定例を示すもので、数値を保証するものではありません。
本製品は研究用です。診断用ではありません。