OE750による高クロム鋳鉄の元素分析
一般的に鉄鋼製造工程では高炉で鉄鉱石を溶解して銑鉄を取り出します。しかし、大量の二酸化炭素が発生するためカーボンニュートラルに対する取り組みとして、電炉で鉄スクラップを溶解する製造法に切り替える動きが加速しています。鉄スクラップは不純物を多く含むため、金属含有量の調整や確認がより重要となります。
OE750は、CMOS検出器を採用し、コンパクトかつ外部環境によるドリフトの影響を受けにくいため、現場での迅速な分析が可能です。さらに、必要に応じて観察波長範囲内で分析元素を簡単に追加することができるため、柔軟な成分管理に有効です。
本資料では、固体発光分光分析装置 OE750による高クロム鋳鉄の元素分析例をご紹介します。
高クロム鋳鉄の元素分析
分析方法
光学系 | パッシェン・ルンゲ |
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焦点距離 | 400 mm |
回折格子溝数 | 2400 本/mm |
検出器 | マルチCMOS |
観察波長範囲 | 119~766 nm |
光学系雰囲気 | 中圧真空 |
認証標準物質 (CRM) |
TS K205 (Shijiazhuang Trump Scientific Co., LTD.) |
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前処理方法 (研磨) |
卓上試料研磨機 IM-P2 (IMT) 回転速度:50~400 rpm 研磨紙:#80 |
分析条件 | FE_200 (鋳鉄用分析プログラム) |
装置性能評価
- 高クロム鋳鉄分析におけるOE750の装置性能評価のため、認証標準物質を10部位連続測定し、平均値(Avg.)および相対標準偏差(RSD)を算出しました。
- 全ての元素において、認証値と同等の結果が得られました。
- RSDは良好であり、精度良く測定できていることが分かります。
表3 認証標準物質の認証値および測定結果 (抜粋)
(単位: wt%)
詳細データ
表4 認証標準物質の認証値、不確かさおよび測定結果
(単位: wt%)