可搬型固体発光分析装置によるステンレス鋼材の判別
ステンレス鋼は鉄を主成分とし、クロムやニッケルなどを含有した合金で、優れた耐食性を有していることから様々な分野で使用されています。ステンレス鋼は炭素量が低いほど耐食性が高くなるため、規格によって異なる炭素量が定められています。例えば、SUS304は炭素量0.08 %以下に対し、SUS304Lは炭素量0.03 %以下となっており、材質を判別する必要があります。
また、ステンレス鋼は建築や土木分野でも使用されており、測定対象物が簡単に動かせないものがあります。その場合、ポータブルなオンサイト元素分析装置が有効になります。
本資料では、従来では測定が困難だった場所での測定を可能にした「可搬型固体発光分光分析装置PMI-MASTER Smart」によるステンレス鋼材の判別例をご紹介します。
ステンレス鋼材の元素分析
分析方法
光学系 | パッシェン・ルンゲ |
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焦点距離 | 300 mm |
回折格子溝数 | 1774 本/mm |
検出器 | マルチCCD |
観察波長範囲 | 165~420 nm(UVタッチプローブの場合) |
光学系雰囲気 | アルゴンガス |
試料 | 認証標準物質(SUS304L相当) BS 304B(Brammer Standard Company, Inc.) |
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前処理方法 (研磨) |
卓上試料研磨機IM-P2(IMT) 回転速度:50~400 rpm 研磨紙:#80 |
分析条件 | ステンレス鋼用分析プログラム |
分析結果
- PMI-MASTER Smartを用いて認証標準物質を10箇所測定し、平均値(Avg.)を算出しました。
- 全ての元素において、認証値と同等の結果が得られました(検出下限値近傍の元素は除く)。
- SUS304Lの規格値内の結果が得られたため、SUS304L相当と判別されました。
- 炭素量0.03 %以下の測定が可能なため、ステンレス鋼L材の判別が可能です。
表3. PMI-MASTER Smartの測定結果