OE750によるアルミダイカスト中の微量元素
ダイカストとは、溶融したアルミニウムや亜鉛、マグネシウム合金などを金型に流し込み、複雑な形状の製品を高精度に大量生産できる鋳造法です。ダイカスト生産量の約95%をアルミニウム合金が占めており、特にAl-Si-Cu系合金は、自動車部品をはじめ、様々な製品に使用されています。
アルミダイカストの化学成分においては、規格対象元素として最大含有量が決められている元素があります。例えば、Feは含有量が多すぎると製品が著しく脆くなることがあります。一方、規格対象元素でなくても、PやLi、Sbなどの微量元素は、溶湯不良や製品製造に悪影響を及ぼす場合があります。加えて、アルミニウムのリサイクルが推進される中、期待しない元素が混入する可能性が高まるため、規格対象元素だけでなく、より多くの元素のモニタリングが重要となります。
本資料では、OE750によるアルミダイカスト中の微量元素分析例をご紹介します。
アルミダイカスト中の微量元素分析
分析方法
光学系 | パッシェン・ルンゲ |
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焦点距離 | 400 mm |
回折格子溝数 | 2400 本/mm |
検出器 | マルチCMOS |
観察波長範囲 | 119~766 nm |
光学系雰囲気 | 中圧真空 |
認証標準物質 (CRM) |
3301-2/3-03 (SpeiraGmbH) |
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前処理方法 (切削) |
精密卓上旋盤Compact 9 (東洋アソシエイツ) 回転速度:100~2500 (min-1) |
分析条件 | Al_450 (Al-Si-Cu合金用分析プログラム) |
分析例
- ADC12相当の認証標準物質を10箇所測定し、平均値(Avg.)および相対標準偏差(RSD)を算出しました(表3)。
- 全ての元素において、認証値と同等の結果が得られました。
- RSDは良好であり、精度良く測定できていることが分かります。*
- ADC12の規格には入っていませんが、溶湯不良や製品製造に悪影響を及ぼす可能性がある微量元素の測定も可能です。
* 検出下限値近傍および検出下限値以下の元素は除く。
表3. ADC12規格値、CRM認証値および測定結果
表4. 認証標準物質の認証値および測定結果