OE750による高張力鋼の元素分析
近年、地球環境保護のため、二酸化炭素の削減が求められています。これを受けて自動車業界では車体の軽量化に力を注いでいます。しかし安全性の確保や操縦安定性の向上なども求められ、これによる車体重量の増加を改善することも課題の一つです。
解決策の一つとして、車体の材料を従来の鉄鋼から軽量のアルミニウム合金や高張力鋼(ハイテン鋼)に変えることが進められています。引張強度がおおよそ490 MPa以上のものを日本では「ハイテン鋼」と呼んでいます。ハイテン鋼の化学成分に規格はありませんが、炭素をはじめとする化学成分を調整し、様々な用途に適した材料が製造されており、化学成分の確認が品質を確認する上でも必要となります。
本資料では、OE750による高張力鋼(ハイテン鋼)の元素分析例をご紹介します。
高張力鋼(ハイテン鋼)の元素分析例
分析方法
光学系 | パッシェン・ルンゲ |
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焦点距離 | 400 mm |
回折格子溝数 | 2400 本/mm |
検出器 | マルチCMOS |
観察波長範囲 | 119~766 nm |
光学系雰囲気 | 中圧真空 |
試料 |
ハイテン鋼 引張強さ:700 MPa |
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前処理方法 (研磨) |
卓上試料研磨機 IM-P2 (IMT) 回転速度:50~400 rpm |
分析条件 | FE_100 (低合金用分析プログラム) |
分析例
- ハイテン鋼を10箇所測定し、平均値(Avg.)および相対標準偏差(RSD)を算出しました(表3)。
- ミルシートに記載のある元素において、ミルシート記載値と同等の結果が得られました。
- RSDは良好であり、精度良く測定できていることが分かります。*
- ミルシート記載外の元素で、ハイテン鋼に含まれる微量元素や不純物元素の測定も可能です。
* 検出下限値近傍および検出下限値以下の元素は除く。