FOUNDRY MASTER Smartによるアルミダイカストの元素分析
多品種小ロット製造や試作品製造を行う企業に対して、歴史的な円安が影響し、海外メーカーからの依頼が増えています。
日本国内で調達したアルミインゴットやスクラップなどの原料は、日本産業規格(JIS) に記載された化学成分のものが多くなります。しかし、海外に輸出する場合は、各国の規格に沿った製品を作製する必要があり、化学成分の確認・調整が重要です。
自動車部品をはじめ多くの部品に使用されているアルミダイカストは、中国やアメリカなど海外にも同等品の規格があります。しかしながら、その化学成分の規格値には違いがあるため、特に、JISより海外規格の方が化学成分の濃度範囲が狭い元素については、精度の高い分析が必要です。
本資料では、品質管理に適したFOUNDRY MASTER Smart (FMS) によるアルミダイカスト製品の元素分析例をご紹介します。
アルミダイカスト製品の元素分析
分析方法
光学系 | パッシェン・ルンゲ |
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焦点距離 | 300 mm |
回折格子溝数 | 1774 本/mm |
検出器 | マルチCCD |
観察波長範囲 | 174~420 nm (最大波長671 nm Cu, Na, Li用) |
光学系雰囲気 | アルゴンガス |
試料 |
ブラケット |
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前処理方法 (研磨) |
卓上試料研磨機IM-P2 (IMT) 回転速度:50~400 rpm 研磨紙:アルミナ(#80) |
分析条件 | AL_500 (Al-Zn合金用分析プログラム) |
分析例
- アルミダイカスト製品(ADC12)を5箇所測定し、平均値(Avg.)および相対標準偏差(RSD)を算出しました(表3)。
- RSDは良好であり、精度良く測定できていることが分かります。*
- 測定結果からADC12の規格に適合していることが確認できます。
- JIS規格と海外規格(ASTMやGB)の濃度範囲の違いも確認できます。
- FMSでは、対象元素が規格内であるか迅速かつ簡便に分析することができます。
* 検出下限値近傍および検出下限値以下の元素は除く。