固体発光分析装置によるヒートシンクの元素分析
電子機器は部品の温度上昇が故障や性能劣化の原因になることから、ヒートシンクを用いて放熱を行います。ヒートシンクの原料は一般的に熱伝導性に優れた銅やアルミニウムを使用します。特にアルミヒートシンクは軽量且つ安価であることから多く使用されています。
アルミニウムのリサイクルでは合金種ごとに分けますが、異なる合金種が混在した場合、熱伝導性が低下し品質に影響を与えることが考えられます。そのため、規格対象元素だけでなく、不純物元素をはじめとしたより多くの元素をモニタリングする必要性が高まると考えられます。
本資料では、OE720によるヒートシンクの元素分析例をご紹介します。
ヒートシンクの元素分析
分析方法
光学系 | パッシェン・ルンゲ |
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焦点距離 | 400 mm |
回折格子溝数 | 2400 本/mm |
検出器 | マルチCMOS |
観察波長範囲 | 174~766 nm |
光学系雰囲気 | アルゴンガス |
試料 |
ヒートシンク |
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前処理方法 (切削) |
精密卓上旋盤 Compact 9 (東洋アソシエイツ) 回転速度:100~2500 (min-1) |
分析条件 | Al_100 (低合金用分析プログラム) |
分析例
- デスクトップPC内のヒートシンクを5箇所測定し、平均値(Avg.)および相対標準偏差(RSD)を算出しました(表3)。
- RSDは良好であり、精度良く測定できていることが分かります。*
- 測定結果から、ヒートシンクの合金種はA 6063であると考えられます。
- A 6063はAl-Mg-Si系合金で、押出し加工性に優れており、複雑な断面形状を成形することができます。
- A 6063の規格には入っていませんが、異種アルミニウム材から混入の可能性がある不純物元素の測定も可能です。
* 検出下限値近傍および検出下限値以下の元素は除く。