OE720による亜鉛ダイカストの元素分析
ダイカストとは、溶融した材料を金型に流し込み、複雑な形状の製品を高精度に大量生産できる鋳造法です。亜鉛ダイカストは、ダイカスト生産量のうちアルミダイカストに続いて2番目に多く、寸法精度が良く、装飾性に優れている等の特徴があります。
一般的に、亜鉛ダイカストは亜鉛合金中の不純物であるPb、Sn、Cdによって粒間腐食が起こることが 知られています。そのため、日本産業規格(JIS)で定められている成分範囲での管理が必要となります。また、製品製造時にリターン材を使用する場合、不純物元素の濃度が高くなることや、特定の元素の濃度が低下することもあるため、様々な元素のモニタリングが重要となります。
本資料では、固体発光分析装置OE720による亜鉛ダイカストの元素分析例をご紹介します。
亜鉛ダイカストの元素分析
分析方法
光学系 | パッシェン・ルンゲ |
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焦点距離 | 400 mm |
回折格子溝数 | 2400 本/mm |
検出器 | マルチCMOS |
観察波長範囲 | 174~766 nm |
光学系雰囲気 | アルゴンガス |
認証標準物質 (CRM) |
42X Z3(batch J) (MBH Analytical Ltd.) |
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前処理方法 (切削) |
精密卓上旋盤 Compact 9(東洋アソシエイツ) 回転速度:100~2500 rpm |
分析条件 | Zn_040(Zn-Al-Cu系合金用分析プログラム) |
分析例
- ZDC2相当の認証標準物質を10箇所測定し、平均値(Avg.)と相対標準偏差(RSD)算出しました(表3)。
- 全ての元素において、認証値と同等の結果が得られました。
- RSDは良好であり、精度良く測定できていることが分かります。*
- 規格対象元素だけでなく、新たな添加元素の分析が必要となった場合も迅速に対応できます。
* 検出下限値近傍および検出下限値以下の元素は除く。