OE750によるアルミニウム鋳物中の微量元素分析
アルミスクラップ材は主に自動車部品から回収され、ダイカストや鋳造に使用されています。アルミスクラップ材の回収段階で、塗料やリチウムイオン電池等からPやLiをはじめとする不純物元素が混入し、製品製造に悪影響を及ぼす可能性があります。
自動車部品に広く使用されているAl-Si系合金では、機械的性質を改善するため、NaやSr、Sb、Ca等を添加することで、共晶Siを微細粒状化する改良処理が施されることもありますが、不純物元素としてPが混入することで、NaやSr等の組織改良効果を阻害する場合があります。このように、スクラップから期待しない元素が混入する可能性があるため、より多くの元素のモニタリングが重要となります。
本資料では、微量元素・不純物元素の管理に有効なOE750によるアルミニウム鋳物の微量元素分析をご紹介します。
アルミニウム鋳物中の微量元素分析
分析方法
光学系 | パッシェン・ルンゲ |
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焦点距離 | 400 mm |
回折格子溝数 | 2400 本/mm |
検出器 | マルチCMOS |
観察波長範囲 | 119~766 nm |
光学系雰囲気 | 中圧真空 |
認証標準物質 (CRM) |
HYDRO 3107-2/2-02 (Hydro Aluminium Rolled Rroducts GmbH) |
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前処理方法 (切削) |
精密卓上旋盤Compact 9 (東洋アソシエイツ) 回転速度:100~2500 (min-1) |
分析条件 | Al_400 (Al-Si系合金分析用プログラム) |
分析例
- アルミニウム鋳物AC4C相当の認証標準物質を10箇所測定し、平均値(Avg.)および相対標準偏差(RSD)を算出しました(表3)。
- 全ての元素において、認証値と同等の結果が得られました。
- RSDは良好であり、精度良く測定できていることが分かります。*
- スクラップ材から混入する可能性のあるPなどの不純物元素の測定も可能です。
- OE750では、主成分元素から微量元素まで簡便かつ迅速に分析できます。
* 検出下限値近傍および検出下限値以下の元素は除く。